最も主要なエアラインパイロットへの道は航空大学校になります。現役パイロットの4割を占めるソースであり、国内全社、世界中にも散らばっている最大ソースになります。
唯一の国立の訓練機関で、訓練費の95%を税金とエアラインからの負担金で賄っているのが大きな特徴になります。
メリット
・訓練費が比較的安い。
昔は国立大並の安さでしたが現在は訓練費用高騰に伴って3倍以上かかりますがそれでも圧倒的に安いです。
・歴史とノウハウが蓄積されている。
先輩からの引き継ぎだけで訓練を乗り越えられるくらい情報量が豊富です。
・入校試験がシンプル。
身体検査が未だに厳しいですが、それ以外の部分は訓練ソースで唯一本格的な学力試験があるのでシンプルに勉強を頑張っていれば報われます。倍率も10倍くらいです。自社養成のように気軽に就職面接として受験するような人間が殺到して倍率が100倍近くになるということもありません。学費が高過ぎて受験者が少ないということもありません。要するに、経済格差や運要素による不平等が身体検査を除いて小さい故に、最も本人の努力でなんとかなりそうなソースであります。
・国内全社に仲間が広がってく、先輩も後輩もいるという状態になるので、転職時の根回しがやり易いということもあります。
デメリット
・待機期間がある。
公式カリキュラムは2年で終了しますが、パイロット不足故に教える教官が足りなかったり、近年の異常気象で訓練が進まなかったり、スムーズに訓練を2年で終えられることがほぼありません。訓練以外の自宅待機期間が合計1年はあると思っておいた方が良いです。加えて近年の航大生はほぼ大卒や院卒で占められ、加えて訓練期間が間延びするとなると、エアラインに入った後も含めて20代は金銭的に乏しいだけの訓練生期間が続くことになります。副操縦士になる年齢も自社養成とほぼ同じくらいになると思っておいて良いでしょう。以前のように航大卒は若くして副操縦士になれるということはもうありません。
・就職活動に自由がない
エアラインの負担金の割合に応じて、学生を採用する順番や採用数割合が決まっています。時代によってやり方に変遷もあるようで、大昔は採用数に応じて同期で話し合って行く先決めることもあったそうです。一時期は会社側から完全ドラフト制でした。
近年は、採用面接の順番のみ決まっていて、全員の就職を目指すために、内定を貰ったら内定先に入社することが原則になっています。普通の就職活動のように掛け持ちで何社も面接をして、内定先から選ぶというシステムではありません。気になる順番ですが、合計7-10社ほどが航大生専用の枠を用意しており、近年採用順位が最も早いのはANAです。次にANAウイングス、ソラシド、、(ここら辺記憶曖昧)、、ピーチ、JTA、JAL(時期によってはスカイマーク)となっています。JALが1番順位が早そうに思えるのが一般的な感覚でしょうが、10数年前の破綻直後、負担金を払えていないことが現状の理由になります。これが結構厄介でして、現状としてANAを除き、採用順位前半よりも採用順位後半の会社の方が給料含め待遇が良いのです(特に昨今のLCCの待遇向上ぶりは凄まじい)。就職試験に訓練中の成績はあまり関係ないと言えるのですが、さすがに採用順位最後の方となると、訓練に苦労した学生の割合が多くなります。そうすると、優秀な成績で訓練を終えた訓練生が、苦労している同期のサポートに回るということが多々ある中で、サポートされてる訓練生の方が待遇の良い会社に行くという事象が余裕で生じます。訓練中の天候や審査官の運などはもっと理不尽なので、就職活動におけるこれくらいの理不尽さは気にならないかもしれません。
・プライベートがない。
スポーツ系部活の寮のような生活を卒業まで続ける必要があります。寮には先輩も後輩もいます。教官と部屋にゴリゴリ入ってきます。程よい無神経さと体育会系気質を磨いておくと適用しやすいと思います。