私の名前は、松本 秋桜(まつもとこすもす )。
皆は、秋桜ちゃんとか、秋桜って呼ぶ。
私は、この秋アメリカに引っ越すことになった。今までの友達はまぁまぁイイ人って感じであった。
私は今日告白する。
大野 翔。
初恋の彼に…。
彼は、別に頭が良いと言うわけでもなく、金持ちと言うわけでもない。彼にひかれたのは、素直な彼の性格である。男子は、私のことを美人と言って近付かない。
でも彼は…違った。
彼と出逢った日をたまに思い出す。入学式。
「…松本…先輩?」
「えっあのぉ、私…1年なんですけど…。」
彼はビックリしていた。
「…あぁ、ごめんてっきり。とっ松本さん美人だからさ。」
まぁ、いつものことだ。
これから私は避けられる。所詮、美人だから。
「ん?君…あきざくらちゃんなの?」
こんなこと聞いてくる男子は初めてだ。
「…違うよ。私は秋桜って書いてこすもすって読むの。変わってるでしょ?私の両親が秋桜畑で出会ったとかで…。」
やっぱり語るんじゃなかった。今度こそひかれるよ。どうしよう。
「へぇ~良い名前貰ったね。益々、秋桜のこと好きになっちゃった。」
「えっ!?好きって!?」
桜の花びらが彼の回りを踊っている。そんなキラキラした彼に好意を覚えた。
「あぁ、ごめん。へっ変な意味じゃなくて…」
彼は照れながら、私を見つめそう言った。
「俺達、この学校に来てからの初めての友達ってことだ。仲良くしようぜ。」
彼は無邪気な笑顔で笑って見せた。
「うん。同じクラスだといいね。」
だから、私も笑った。男子の前で笑ったのは初めてかもしれない。
私…この人の隣で笑っていたい。
いつまでも…。
そして、私達は同じクラスになり、いつも相談したり、バカやっていた。
それは、半年間の楽しい日々だった…。
幸せを神様は許さなかった。
「…ただいま。…あれ?お母さん?」
その日は友達と一緒に好きな人の話をしながら帰ってきた。私の好きな人。
「あぁ、おかえりなさい。あのね、お父さんが転勤になったの。明後日なのよ、急な話でびっくり。二年間ぐらい帰って来れないみたいだから、私達も行かなきゃ。…秋桜も荷物まとめて。」
はっ!?えっ!?
「…ど…どこに行くの?」
「アメリカ。遠いわね。友達に明日別れを言うのよ。…大野君にもね。」
私は、行きたくない。
アメリカなんかに。私はここが良い。翔…翔…私のあなたへの気持ちはどうすれば、良いの?
この日、食べ物は喉を通らないし、涙が溢れてきたのだ。
お父さんとお母さんは私に、具合が悪いなら休めとか日本にまた帰って来れるから安心しろって私を心配してくれた。
それでも、朝は来る。
私は、今日で一度日本の学校とさよなら。
「あっ秋桜。おはよっ。」
「…翔。…翔。」
私は、笑顔で挨拶する彼を見ると、涙が止まらなかった。昨日あんなに泣いたのに。
「翔。…私さ、アメリカ行くんだ。」
下を向いてしまった。彼に涙を見せないように。こんな顔翔に見せられないよ。
「なぁ、いつなんだよ!」
彼は怒ったような口調だった。こんな彼は初めてだ。
「急に決まったの。明日行くんだ。だから今日でこっちの学校はとりあえず終わり。2年たてばまた戻ってくる。手紙頂戴ね!翔。」
私は、彼の前で初めて作り笑いをした。最後はね、笑っていたいの。あなたの前ぐらい。
「…秋桜。学校今日はさ、サボろう。俺さ、行きたいとこあるんだ。いいだろ?」
「えっ!?行きたいとこって!?」
「いいじゃん、ちょっと遠いからバスで行くか。」
そのままバスに乗らされた。彼の行きたいとこまで、彼は、この半年間の思い出話をした。
その場所に着いた。辺りは田舎って感じで田んぼや山のどかな風景である。彼はもう少し先という。だから、歩いていく。彼の手を握って。
「ねぇ、翔…これって。」
そこには…美しい秋桜畑が広がって行った。
「秋桜。お前の花だ。ここ、こーんなきれいなのに、誰もいないなんて。」
「私達が出会ったのも、桜の春だったね。別れるときも秋だけど桜、…か。」
ロマンチックな翔らしい、選択だね。って言いたいけど、彼の寂しそうな顔を見ると何も言えなかった。
色々考えていたら、辺りは太陽が沈み始めた。
ずっと、かたく閉じていた彼の口からは…。
「…秋桜。辛くなったとき、いつでも俺に言えっ。今日はありがとよ。」
「うぅん、私の方こそ、翔ありがとう。こんな可愛らしい秋桜達初めて見たよ。翔…ありがとう。」
「俺こそ、ありがとよ。じゃあ、バス遅れるから帰ろうぜ。」
「うん…。」
私は、このままアメリカに行っても良いのかな?
翔への気持ち、日本に置いていって良いのかな?
決めた!
私は今日告白する。
「待って、翔。…わっ私松本秋桜は、大野翔が大好きです。親友じゃなくて翔の恋人になりたい!!」
言っちゃった!
私の本当の気持ちを。
「…秋桜。俺…無理。」
えっ!?
「…そうだよね。アメリカに行く奴に色々言われても、翔困るよね。ごめんね。忘れて。」
告白だけじゃなくて、私のことも忘れて。
翔。
「…翔。あなたは、…私なんか通り越すように、翔んでいって素敵な人になって。」
本当に、今までありがとう。私の側に居てくれて。
そう思うと、また、涙が出てきた。
「おい!秋桜。勘違いするな。二年間の内に俺はもっと男を磨く。だから、秋桜とはまだ付き合えない。秋桜が帰ってきたら、今度は俺から告白する!」
翔…。
「翔…私のこと嫌いじゃないんだね。…分かった。私もアメリカで頑張る。手紙も送る。ね、バス間に合わないよ。早く行こう。」
「うん…あれ?秋桜、顔に秋桜の花びらが付いてるよ。とってあげる。」
そう言った、彼は、くちびるにキスをした。花びらなんか付いていなかった。
ちなみに、翔がついた初めての嘘だった。優しい彼なりの方法だったと思う。
楽しい時間は過ぎて行き、私はアメリカに旅立った。
あれから、手紙を何通も交換している。私と翔は親友である。
本当の恋物語はこれから始まる。
あの日、秋桜畑で起きたことは、奇跡だった。