さて、星屋見習いとして住み込みで日夜精進する私。

季節は春だった。

店主のオージ(爺さんみたいだから)はいつものんびりしていた。
「桜の花びらがよく散ったよく散った」

と言って喜んでいる。
ちなみにオージの外見を知らない。つまり見えないのだ。
ただ声がするだけなのである。
しかし私は驚かなかった。
感情が極端に乏しかったのも原因だったが、何よりもなにもかもに興味がなかった。
星屋に住み込むのも流れであった。

「夜までには外を真っさらに綺麗にしてくれないか、仕事の邪魔になるからの」

星屋は忙しい。
夜の本業はまだ見せてもらったことはないが、毎日何処かを綺麗にせよと命じられる。
桜の散るこの季節は一日中桜の花びらとにらめっこであった。
何しろ一枚も落ちていてはいけないのだ。
だから少しでも放っておけない厄介なものだった。
掃除が嫌いな私には苦痛でしかなかったが、それしかなかったので従わざるを得なかった。

「さくら…こんなに欝陶しく感じたのは初めてだよ」

そう言いつつ星屋に従うのであった。

続く
星屋になりたく…というよりそういう運びになり、見習いとして働くことになった 私。

まず、星屋の陰惨とした空気はさほど気にもならなかったが、日がな惰眠を貪る店主、昼間なのに暗く、窓の存在を確認するのは困難だった。
暇な時はやたら低い天井の店内で椅子に深く腰掛け沈むのが仕事だった。
そこら中に散らばった資料に目を通しても、落書きみたいなものばかり。
走り書きのみの資料。
あと、よくわからないものが騒々しく点在していた。

昼間は仕事という仕事はないという。
何故、星屋になることになったのか等はまた後で。

とりあえず荷物をおろして休んだ。

続く