1990年2月、世界ヘビー級タイトルマッチ、マイク・タイソン対ジェームズ・ダグラス戦以来、34年ぶりに東京ドームで開催されるボクシングの世界タイトルマッチ
しかも今回はモンスター井上尚弥君をメインに世界タイトルマッチが4試合組まれました
今やボクシングの軽量級は日本人選手が大活躍、レベルも高く、バンタム以下の階級は中央アジア、フィリピン、タイを含めたアジア、日本が中心となっています
【 WBA世界フライ級( 50.8㎏ )タイトルマッチ 】
ユーリ阿久比政悟 ( 12R判定3-0 ) 桑原 拓
同い年のライバルの対戦、試合は固いガードからプレッシャーを掛け続けたチャンピオンのユーリ阿久比選手が速い返しと強固なブロッキングで桑原選手を追い詰めるという流れ、手数では少し桑原選手の方が多かったようですが、有効打の差でスコアは圧倒、完勝でした
三人のジャッジの裁定は、117-111、117-111、118-110 の 3-0
チャンピオンのユーリ阿久比選手、あの勇利アルバチャコフ選手から名前を貰ったという選手。全国的な知名度はあまり高くありませんが
このチャンピオンはかなり強いですよ、まだまだこれからも防衛を重ねてゆくと思います、ライトフライ級の寺地拳四郎チャンピオンが階級を上げて対戦してくれれば、日本人同志の好カードが実現します、どうだろうか・・・
【 WBA世界バンタム級( 53.5㎏ )タイトルマッチ 】
井上 拓真 ( 12R判定3-0 ) 石田 匠
こちらも3-0の判定でチャンピオンが防衛を果たしました
ジャッジは、118-109、118-109、116-111
1Rにダウンを喫するというチャンピオンにとっては慌ててしまうような展開でしたが、意外と差が付いたなあというのが感想、見た目は一進一退、石田選手のジャブが有効に感じましたが、ジャッジは拓真君の手数と攻勢点を評価したようです
拓真チャンピオン、最強挑戦者といわれたアンカハスをKOで初防衛し僅か二ヶ月ちょっと、ジムの方針もあるんでしょうが、兄貴がメインの興行に花を添えたいと短期間での防衛戦に臨み見事結果を出しました。
兄貴と比べてはいけませんが、チャンピオンとしての貫禄も出てきました
最低でもあと4~5回は防衛し、バンタム級のチャンピオンとして名を残してほしい
【 WBO世界バンタム級( 53.5㎏ )タイトルマッチ 】
武居 由樹 ( 12R判定3-0 ) ジェイソン・モロニー
K-1出身の武居選手が見事判定で王者を下し新チャンピオンに
立技格闘技出身の武居選手、このクラスの選手相手にパンチで倒される事はないだろうと考えていました。実際、世界チャンピオンとはいえ、モロニー選手くらいのパンチ力では武居選手は倒せません。心配は技巧派でクレバーなモロニー選手に翻弄されるのではないか、という不安。
実際流石は世界チャンピオン、簡単な相手ではありません
でも期待している選手だからこそ、敢えて厳しい指摘をさせてもらうと
『 パンチがワンパターン 』、サウスポースタイルのジャブから左、ほぼこれだけ
その速いジャブや強い左を生かす為にも、単調にストレートを上( 顔 )か下( ボディー )に打つのみではなく、
連打とか、右フック、左ボディーへのアッパーなどもっとバリエーションを増やさないと今後防衛戦でも苦戦すると思います
比べてはいけませんが、この後の尚弥君の試合でのタメ息の出るようなコンビネーションを見ると同じジムなんだから是非吸収してほしいと強く感じます
こちらもジャッジは、116-111、116-111、117-110
意外な大差がつきました、チャンピオンがちょっと消極的でした、それだけ武居選手のパンチを警戒していたんでしょう
これで世界主要四団体のバンタム級王者は全て日本人選手となりました。
今後の対戦カードが楽しみです、あの那須川天心君もバンタム級だし、
統一戦も実現するかもしれません
WBA:井上拓真
WBC:中谷潤人
IBF:西田凌佑
WBO:武居由樹
【 WBC・WBA・IBF・WBO四団体世界スーパーバンタム級( 55.3㎏ )タイトルマッチ 】
井上 尚弥( 6RTKO ) ルイス・ネリー
シュガー・レイ・レナード、ロイ・ジョーンズJr、フェリックス・トリニダード、
マニー・パッキャオ、テレンス・クロフォード
いつか日本にもこんな名チャンピオンと肩を並べるボクサーが現れるんだろうか?
かつてそんなことを考えたことがありましたが・・・・・・
日本にも居るんです、現役で既にレジェンド・・・・・・
MSGやラスヴェガスじゃなくてもこんなに大きな興行が打てる名チャンピオンが
今日は弟が1Rにダウンを喫し、場内がざわつきましたが、まさかの、兄貴までも・・・
プロボクシング人生初のダウン、初回に
これは果敢に打ち合ったネリ選手を褒めましょう
モンスターと対峙すると皆一様に腰が引け、守り一辺倒になるところ、ネリ選手は逃げなかった
モンスターをこんな目に合わせるには、もう攻撃に特化したネリ選手のようなタイプしかいないと思っていました
でもモンスターも絶対に逃げたりはせず、打ち合いに臨む
ただ悲しいかなやはりネリ選手ではスピード、防御技術、スタミナが足りない
大方のプロの方たちの予想通りの結末となります
最後はマウスピースを吐き出しギブアップ
彼のモチベーションは、体重超過をせず、無事リングに上がり、高額なファイトマネーを得た段階でもう殆どなかった。
後はモンスターに万が一の一発でも喰らわせればそれで達成、実際やってのけました
ネリ選手の素顔は『 悪童 』なんかではなく、本当は気のいい、社交的だが、ちょっと節制が苦手な、おおよそボクサー向きではない少しだらしのない優男なんだと思う
今日、尚弥君の新しい一面を見ました、いきなり倒された後の動き、とても冷静でした、技術、スピード、反射神経、パンチ力、打たれ強さはもう超一流。
そして熱い闘争心と併せて持つクールな頭脳、でも本人はイメトレをしているといっていました、普段からそんな冷静さも持っているんでしょう、試合後の受け答えからも察しがつきます
今日最後に、18戦無敗だという新しい挑戦者らしき男がリング上で紹介されましたが、この男も、ムロジョン・アフマダリエフも、もう尚弥君の相手ではないでしょう
もうスーパーバンタムも相手がいないですね(笑)
いよいよフェザー級への階級アップが近づいてきたかな?
フィゲロア選手からもラブコールが来ています
その後は更に階級を上げ、ジャーボンタ “ タンク ” デービス選手とのマッチアップか
まだ暫くは引退せずにボクシングファンを楽しませて下さい