法( のり )面の工事を請け負う土建屋さんに勤務していた時代の出来事を綴ってまいります
のり面職人の作業着( 外見 )は基本、鳶さんと同じです
超々ロングのニッカズボンに地下足袋、手首には手甲を着ける
職人頭のKさんは特にこのスタイルに拘りを持っていた
上下白で統一し、汚れると次の日は新しい物を着用し、常に清潔感を保っているような方でした、頭部を覆うタオルも白無地で、山に登る作業時のヘルメットも白の無地の物
僕やI山は、迷彩柄のパンツに上は長袖ポロというのがパターンで、ヘルメットはこの仕事でよく見かける、お皿をひっくり返したようなこんな物です
落石対応のヘルメットで、昔のイギリス軍のヘルメットに似ているヤツ
拘りといえば、僕は足袋はこのような足裏がスパイクの物をよく履いていました
Kさんには “ 素人っぽいなあ ” と、よく茶化されましたが
メット( ヘルメットの事です )を常に被っているので汗取りも必要です
その他の拘りはこの汗取り。
タオルを着用する人が多いのですが、すぐに汗臭くなるのが嫌で、いつもバンダナを使用していました、頭部全体を覆うのではなく、汗をかく額の部分だけ
シルベスター・スタローンのランボー気取りでこれも迷彩柄を多く使用します
ただ、ノズルマンの時は合羽ズボンに長靴というスタイルでしたが
この仕事は重量物を扱うことが多い
古くなった吹付跡を斫って解体したり、木を伐採したり、アンカーホールを削孔したりするときは結構な重さの工具を持ち上げます
古い吹付跡の解体
これには、ブレイカーと呼ばれる削岩機を使います
よく使ったのが10㎏くらいの重さの物
劣化したモルタルをはがし落とす作業なので、大変だけど意外とおもしろい
工具も下に落とさないよう、別のロープに括りつけます
山が裸になると次は、落ちそうな小石を落とし、木の根や邪魔な木を伐採します
ここで活躍するのがチェーンソー
ただロープに下がった状態でのチェーンソーの使用は要注意です。
ロープに触れないよう細心の注意が要ります
ある真夏の暑い日、山の頂上でチェーンソー作業をしました
もう本当に暑くてフラフラ、
チェーンソーの燃料は混合ガソリン、小さなペットボトルに入れ山頂まで持ってきています。混合ガソリンはちょっと濃いめのピンク色、これがペットボトルに入っていると
“ 本当に美味しそうにみえる ” 、何度飲んでしまおうと思ったことか(笑)
通常ののり面工事の前半は、土が剥き出しの山にラス網を張ってゆきます
この時に必要な道具、材料がこれ
要所要所で網を固定するアンカーピンを20~30本くらい、
打ち込むセットハンマーと、下地が岩盤だった場合はハンマードリルも持っていきます
この道具全て持っていくと約7~8㎏
また、特殊な工事では岩盤を削孔し、モルタルを流し込む為の穴を掘ります。
そのときに使用するのがまた重い削岩機
普段からこんな重量物ばかり扱うので、のり面屋の職人は筋骨隆々の方が多い
僕もこの会社に居た4年間は、ぜい肉が削ぎ落され、まあまあ見栄えのいい締まった体型をしていました( 自画自賛 )
自然豊かな環境で、体力の限界まで体験できる仕事
ある日、晩秋の白山スーパー林道での作業中、土曜日だったので休憩中に観光客と思わしき人から声を掛けられました
『 あんたら、こんな良い所で仕事が出来て、ええなあ 』
確かに周囲は紅葉の盛りで観光には素晴らしい景観です
でも、『 毎日毎日こんな山の中で、たまには街に行きたいわ! 』と心の中で叫び、
顔は引きつり、笑顔で受けこたえなんて出来ません
仕事は常に危険と隣り合わせ
そんなモチベーションで仕事をしているので、ちょくちょく怪我などのハプニングもありました
< 続きます >