辞書で『育む』と引くと
「生物をそだてること」と書いてあります。
手間をかけてお世話をしていると
生き物はゆっくりと成長しながら
愛情をうけとめて育っていきます。
我が家では
鉢植えの観葉植物を
10こほど育てています。
一番の長老は120cmまで伸びた
ポニーテール。
家にやってきてもう15年になります。
二度の引っ越しにも
元気についてきてくれました。
風で細長く垂れ下がった葉っぱがなびく姿から
『師匠!』と呼んでいます。
漫才コンビの師匠さんで
髪の毛をフーッ!てやるとハゲ頭になる鉄板ネタに
そっくりだから。
次に大きいのは
今年の春にやってきた
オリーブの木とレモンマートルの寄せ植え。
二つとも小さかったので
大きな鉢に寄せ植えにしたら
今はもう倍くらいに立派に育ってくれました。
ほかには
朝になると毎日小さいムラサキの花を咲かせる鉢や
幸せを呼ぶワイルドストロベリーは
新しい芽もでてきました。
ペットは飼っていませんが
毎朝水を差したり、栄養剤をあげたりしていると
暑がったり寒がったり
元気だったり、しょんぼりしていたり、
植物の気持ちもわかる気がしてきます。
『はぐくむ』って時間が必要です。
愛着をもって接していると
道具とかモノを育むことだってあります。
使い込むほどに味がでてくる革製品などは代表的です。
高価なものでなくても
わたしが使っている鉄製の中華鍋は
手放せないモノのひとつです。
フライパンのように表面加工されていないので
初めは使いにくかったのですが
油をなじませて手入れを続けていると
職人さんの道具のように
半永久に使えるモノになりました。
分子レベルでは
生き物でもモノでも
時間をかけて育むとそれに反応するのでしょう。
コンクリートの頑丈な建物も
人が住まなくなると
まるで必要とされていない意識があるように
あっという間にボロボロ崩壊していきます。
『はぐくむ』って長い時間が必要です。
ビビッときて結婚した夫婦も
人間関係も生き物も
自分が所有しているいろいろなモノだって
これから長い時間をかけて
手入れしていくと
いつの間にかあなたに調和する
新しい細胞に変化していくのだと思います。
『はぐくむことのできる人』
人の心地良さ美しさを凝縮した言葉に
わたしは感じます。

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