「ひろ、、ちょっと待って」


エントランスでのやり取りがその日の朝からの話題で大盛り上がり。


''副社長の彼女かな、、''

''ドラマみたいー''

''わかるー!絵になるよね''


朝からこんな話題をずっと聞いて、胸がチクチクするしイライラする。


圭君からはちょこちょこ着信がある。


「野瀬さんいます?」

事業本部の入り口にはさっきの女の人が私を探していた。

私はこうやって騒がれるのが大嫌い。

すっと出て「私です、会議室へ」と促した。

彼女の用件を伺う。

まぁ何となくわかってるけど、、

女の恨みというやつは面倒だ。


「家の都合ってだけで、圭となんてずるい」

「ありえない」

「仕事でも女としても負けないし

愛人でも圭の傍にいれるならそれでいいのに

あなたが離婚とか言うから」

「飾りだけの妻の癖に!」

「圭は、、(昔話をいくつか)」


泣いたり怒ったり、面倒臭い

こんな人が好きだったのかな

情緒不安定な彼女を前に極めて他人事な私。

もてる人は面倒だ、、

まぁそれもステータスか、、


「で、どうしてほしいんですか?

別れる?愛人の許容?」

ぺちんと叩かれた。

は??

そして、そのタイミングで会議室が開いた。


「圭っ

この人がっ」

泣きつく彼女の背中をトントンとする圭君。

あー、、なんだこりゃ。

叩かれたの私だけど

「彩花、ちゃんとするから」

「、、圭っ!」


なにも言わず私はその場を去った。

部署に帰ると噂話されるんだろうなぁって思って気が重かった。

のに、同期の広瀬達のお陰で払拭された。

「野瀬ー、副社長が探してたよ!」

「すんごい剣幕だった笑」

「面倒なもんに巻き込まれてんねぇ」

「どうなんどうなん!?

あの人って秘書課の人でしょ。こわそー、、」

と笑い話にしてくれた。


でも梨央という友達だけ頬が赤いのに気付いてくれ

「お疲れ。ちゃんと話せよ」と冷たいタオルを頬に当ててくれた。