どうする家康ががぜん面白くなったのは、岡田准一が退いてからです。ていうか信長がいなくなって、秀吉との争いになっていくところあたりからです。ムロツヨシが実にうまかったですね。成り上りものと呼ばれた秀吉の秘めたる狂気をうまく演じていました。北川景子の淀殿の登場も面白くなってきた要因です。
北川景子の淀殿は迫力満点で、その前に演じたお市の方(一人二役)と比べ、炎のような愛と憎悪を表す点で実に素晴らしいものでした。大坂の陣で大坂方諸将を叱咤激励する様は、それこそ承久の乱で鎌倉御家人を一つにする大演説をぶっこいた北条政子を彷彿させるほどの名演説でした。(ま、最高の煽りでしたw)
それと千姫。原菜乃華は大坂冬の陣前は徳川と豊臣の狭間で揺れ動き苦悩していましたが、第46回ラストシーンで自分を命を守ってくれた淀殿を見て吹っ切れた様子で、そして第47回では、天下人の自覚をすっかり身に着けた秀頼についていく覚悟を決めた豊臣の一員としての強さを見事に演じていました。登場回数はわずかですが存在感はピカ一でした。
松本潤演じる家康もドラマ前半では頼りない若者でしたが、有村架純演じる築山殿の死以後人が変わり、また三河以来の譜代の家臣が次々と亡くなっていく中で徐々に貫録を持つようになりました。よく頑張ったと思いますね。
最終盤に入り、豊臣の意地、豊臣の誇り、豊臣の気概を古沢良太は本当に見事に描いていました。それと淀、初、江の浅井三姉妹が双方に分かれた運命のいたずらの中での強いきずなの描き方も見ごたえがありました。素晴らしい脚本です。