(これまでに書いていたものを、ひとつにまとめてみました)

 

1.現生人類とネアンデルタール人

人類の誕生から700万年と言われているが、大きく5つの段階に分けられる。初期の猿人、猿人、原人、旧人、現生人類(ホモサピエンス)である。いずれもアフリカを起源としているが、アフリカ大陸を出てユーラシア大陸へ広がったのは原人以降である。原人は有名なジャワ原人や北京原人として骨の化石が発見されているが、やがて全滅したようである。彼らが進化して現生人類になったわけではない。旧人も同様にアフリカから足を踏み出し、ヨーロッパ各地へ広がったネアンデルタール人が有名である。この旧人もやがて消えて行き、最後の現生人類がアフリカから出発してユーラシア大陸、アジアの隅々、オーストラリアや日本列島、やがてはアメリカ大陸まで広がったのである。現在の黒人も白人も黄色人も、アボリジニも基本的にはすべてこの現生人類の末裔であるというのが定説である。

 興味深いのは、原人と旧人、旧人と現生人類が同時代に共存していたということである。今とは密度が違うから、すぐそばにいたわけではないだろうが、とにかく共存しており、最近の研究では、旧人であるネアンデルタール人と現生人類が交配していた可能性が高いということである。そうすると、ネアンデルタール人的な要素を発現している人がいる可能性もある。

 そこで、私は現生人類と比較して、ネアンデルタール人にはどのような特性があったのかを文献で調べることとした。

国立科学博物館人類史研究グループ長の海部陽介(twitter.com/yosukekaifu)『日本人はどこから来たのか』(以下の頁はこの著作の文芸春秋版)を参考に考えてみた。

 

(1)ネアンデルタール人との混血

 現生人類はアフリカで発生し、やがてユーラシア大陸へ足を踏み出すのであるが、すでにその頃には先輩である原人や旧人がユーラシア大陸に過疎ではあろうが広がっていた。すでに厳しい環境下で絶滅していた可能性も高いが棲息していた可能性も否定できない。特に旧人で道具も使っていたネアンデルタール人はまだ各地に棲息していた可能性がある。

 そこで、ドイツのマックスプランク研究所のグループはネアンデルタール人の化石骨からDNAを復元したところ、現生人類とわずかながら混血していたことが分かったのである。さらに各地の現生人類と比較すると、アフリカ人以外の現代人には1.5%~2.1%の割合でネアンデルタール人に共通のDNAが存在することもわかった。(40頁)おそらく現生人類が発生した頃のアフリカにはネアンデルタール人のような旧人は絶滅しており、混血しなかったのであろう。

  別の研究者が全く異なる視点から「エチオピアからイスラエルに来た子供(移民)にはアスペルガーがほとんど見つからず、ヨーロッパから来た来た子供(移民)には一定程度のアスペルガーが見つかった」という旨の発表をした。(論文の引用がうまく出来ないのが残念であるが、ネット上でも散見される)この研究者は、アフリカにアスペルガーがいないのはアフリカの環境の厳しさによるものだと推測したが、間違っている。アスペルガーが遺伝的要素が極めて高いことは確立された定説である。これは引用するまでもなく、「ASD遺伝」で検索すればいくらでも論文が出てくる。アフリカ人にいアスペルガーがほとんどいないということが証明されればアスペルガーはネアンデルタール人の特製の発現ではないかと言う私の仮説が取るに足りないものであるという意見への反証の一つになると考えている。残念ながら、そのような研究はいまだ知らない。

 

(2)ネアンデルタール人は単純な道具を使い、身を飾らなかった

  ヨーロッパで有名な旧石器時代人の代表にネアンデルタール人とクロマニヨン人がある。ネアンデルタール人は旧人で、クロマニヨン人は現代人に進化していく現生人類の1種である。この2つの文化の大きな違いは「際立った創造性の有無である」(44頁)クロマニヨン人は動物の骨や角を起用に細工して釣り針や縫い針を作ることができた。槍も単に石を尖らせるだけでなく動物の骨の裂け目に鋭い石のかけら(細刃器)を多数挟むようなものを作り次々と創造性あふれる道具を作り利用した。一方ネアンデルタール人は槍を使ったが、石を砕いて尖らせただけのものであった。

 また、クロマニヨン人はビーズやペンダントで身を飾ることを好んでおこなった。音楽や絵画も爆発的に拡がった。死者の葬り方も副葬品が加わるなど、死者への接し方に心の深みを感じるものが顕著になってくる。(45頁99頁)

 2つの文化では、整理整頓具合も異なっていた。ネアンデルタール人は洞窟内のあちらこちらに動物の骨や道具が無秩序に散らばっており、一方クロマニヨン人は洞窟内の場所を用途別に寝る場所食べる場所、貯蔵穴と計画的に使っていた痕跡が見られる。(97頁)これは単に遅れた文化と進んだ文化というよりも旧人と現生人類の特性の差かもしれない。おそらく「集団で罠で待ち構えて動物を捕る」ような行為もネアンデルタール人はしなかったと類推する。彼らはアスペルガーの人々と同様に、目の前にないものを想像することができないから、やがて通るであろう動物を想像して罠を仕掛けることは思いつかないであろう。現生人類の知恵であろうと考えるが、今のところネアンデルタール人は罠をつかわなかったというような研究発表は知らない。

 そして、このネアンデルタール人に見られる特質こそが、現代で「発達障害」などというマイナスイメージで呼ばれるアスペルガーの人々に特徴的に見られる、想像力、創造性の欠如、片づけられない、アイコンタクトが理解できないなどのコミュニケーション力の不足などと重なるのである。私の近くにいるアスペルガーの男性もファッションには全く関心がない。服は寒さを防ぐものとしか考えて居ないし、30年前40年前の型落ちした服でも平気で着ている。

 

※以上のような荒唐無稽かもしれない仮説を専門的科学的に検証した論文、文献は残念ながら見られない。ほんの一部に私と同じ非専門家の方が同じことをブログに公表されているので是非閲覧されたい。⇒(ameblo.jp/oyasumipon/entry-11922283988.html) 専門家ではないがかなりの知識をお持ちの方であると考える。人類学者、考古学者、精神心理学者、発達心理学者等の研究を期待する。

(aspeclose.blog.fc2.com/blog-entry-478.html)この方も非専門家であるが、ドイツのネアンデルタール人のDNA研究結果から私と同様の結論を書かれている。(⇒この方は最近は男性ホルモンの量が多い事が原因ではないかという説を前面に出されている)

 

・・(以下は、補足の文章である・)・・

 

2.アフリカ人にアスペルガーがいないという研究について

「イスラエルで行われた広汎性発達障害の調査では興味深い結果が得られている。イスラエルは移民の多い国ですが、ヨーロッパだけでなく、アフリカやアメリカからも人が移り住んできている。ヨーロッパで生まれてイスラエルに移住した人と、アフリカで生まれてイスラエルに移住した人を比較した。ヨーロッパで生まれた人は、イスラエルで生まれた人と同じ割合で広汎性発達障害が見られたが、アフリカで生まれた子どもには全く見られなかった。」  これを発見した人は、「文明の違いによるものだろう」と結論付けたが、それはあり得ないことだ。では、アフリカ人と非アフリカ人では何が違うのか。

ネアンデルタール人と現生人類(ホモサピエンス=われわれのことです)の交配について遺伝子解読した研究がある。

「ドイツのマックス・プランク研究所のチームは、クロアチアの洞窟で発見されたネアンデルタール人3体分から得られたゲノム配列を解析し、フランス人、パプアニューギニア人、中国人、アフリカ人のゲノムと比較した。その結果、ネアンデルタール人の遺伝的変異はアフリカ人よりも非アフリカ人の方がより共有部分が多かった」  つまり、アフリカ人にはネアンデルタール人の血がまじっていないが、その他にはまじっているということである。

以上の2つの研究を突き合わせて、素人的、直感的、三段論法的に考察すると、「アフリカ人にアスペルガーはいない。アフリカ人にネアンデルタール人の血は混じっていない。だからアスペルガーはネアンデルタール人の特質が発現したものである」 となる。

もちろん、他にアスペルガーの特質とネアンデルタール人の特質について共通するものがあるのであるが、今回は最近のニュースから一つだけ加えたい。

「ネアンデルタール人の小脳がホモサピエンスよりも小さい」ということである。慶応大の荻原教授らの研究グループは大脳に対する小脳の割合がホモサピエンスは13.5%、ネアンデルタール人は12.7%だった。たったそれだけの違いなので拍子抜けするかもしれないが、これが運動機能や認知能力に影響を及ぼしていたことは十分に推測される。ちなみに、アスペルガーの人たちも小脳が小さかったりするのである。私の知り合いのアスペルガーの人も、ピョンピョン飛び跳ねる時のリズム感がずれているし、球技はへたである。

 

 

3.ネアンデルタール人について

現生人類はホモサピエンスである。人類がチンパンジー類から分離して、原人、旧人などと呼ばれたヒトは、古くは500万年前(700万年前という説もある)から発生している。いずれもアフリカ発祥のようだ。そのなかで比較的新しいネアンデルタール人は約40万年前に生まれ、アフリカを出たようである。体も知能もとても進んでいたらしい。しかし、4~2万年前には絶滅したという。35万年は地球上に広がっていたのである。だが、今のホモサピエンスのように地球上の覇者とはならなかった。35万年も生存し続けているのにである。

ホモサピエンスは発生してから20万年前である。20万年の間に、この繁栄である。 繁栄しすぎるくらい繁栄している。ネアンデルタール人と現生人類の大きな違いは何なのか。化石によれば体格や脳の大きさでは、むしろネアンデルタール人の方が大きいようである。

では、何なのか。化石か遺跡に頼るしかない。

ネアンデルタール人の遺跡には、打製石器をはじめとする簡単な道具しか残っていなかった。何万年経っても旧態依然の暮らしをしているのであった。一方、現生人類は、打製石器に棒をくくりつけて斧にしたり、骨で釣り針を作って魚釣りをした。とにかくさまざまな道具に工夫・真価を加えるのである。

新しいものを作るということは、まだ起きていない状況を思い浮かべて(=想像して)、次に起こるであろうことのために新道具を作るのである。落とし穴やワナがそうである。その発想や技術を現生人類は海出し、伝えることができたようだ。

一方、ネアンデルタール人は30万年間も生き続けていたが、想像力と創造性の欠如により駆逐されるのである。

ネアンデルタール人はやさしい。戦わない。集団行動がヘタである。そして嘘はつけない。だからこそ、現生人類の策略にやられてしまった恐れはある。友好的で両者は「交配」したとも言われている。十分にあり得ることである。ネアンデルタール人のDNAは現生人類のDNAに混流したのである。そして、いまでもそのDNAが発現することがある。それがアスペルガー(自閉症スペクトラム)ではないかと私はにらんでいる。ネアンデルタール人と現生人類が交配しなかったと推測されるアフリカ地域にはアスペルガーの人はいないのである。

現生人類は20万年間の間に巨大な文明社会を作り上げた。いまや飽和状態だ。

つまり、20万年あればここまでやってしまうのである。一方ネアンデルタール人は30万年あっても何も残せなかった。まるでチンパンジーやゴリラが人間のような文明を作り上げられなかったのと同様に。