はぁ。ため息ひとつついて。
「カメラは？」
「え？」
「カメラ持ってきなさいよ。」
「え、あ！うん！！」
バタバタと寝室の方へ向かったかと思うと
即効カメラを持って戻ってきた。
「にの！カメラ！！」
「はいはい。じゃあ撮りますか。」
「うん！」
満面の笑み。そんな喜ぶこと？まあいいんですけどね。
肩を寄せ合ってパシャリ、パシャリ。
「もう公式のは飾らないでよ？」
「うん！すぐ入れ替える！あ。にの！
スマホ！スマホでも撮っていい？」
「え、ええ～？」
それ必要？そう思うけどキラキラ目を輝かせる
相葉さん見たら断れない。
結局スマホでも撮って、更に俺のでまで撮って。
なにしてんだか。
「写真くらいあるでしょうに。」
「ないよ。」
「え？」
「２人だけのってないんだよ。」
「そう、でしたっけ？」
そういや２人で出かけるのなんて飯くらいだし
撮る時はいつも誰かと一緒だったかも。
「言ってくれたら良かったのに。」
なんて。分かってるよ。
俺がそうゆーのやりたがらないって
知ってるから言えなかったんでしょ。
それくらいならワガママ言ってくれてもいいのに。
素直に“うん”とは言わないけどさ。
「ありがとね、にの。俺、これ大事にすんね。」
こんなことで満足そうな笑顔。
本当は写真なんて意味ない、そう思ってる。
だって。
どれもこれも所詮は過去の一瞬を切り抜いたもの。
そんなのよりも今を大切にしたらいいじゃないの。
でも。だけど。
あなたが喜んでくれるなら
それもアリかなって少しは思わなくはないよ。
俺をまるっと愛してくれてる、そんな証な気がするからね。
絶対にそんなコト言わないけど。
「相葉さーん、おなか減ったってば！」
「分かってるよ！」
今はこの瞬間が大切だよ。
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