※うっすら?たぶんBL。嫌な人は回避よろ。




なにも言わなくても気持ちが伝わる事ってあるんだよね。

でも、伝わったからって始めなきゃ始まらないものなんだ。

だから、ねえ。

そろそろ「ちゃんと」伝えてよ。






「さっむ!」


昼間は晴れてて、冷たい風も吹いていなくて。

その状態なら自然だったこの服装は

もう深夜と言っていい今の時間には不似合い。

分かってる。そんな事は。

だから待ってるんだ。きっと来るあの人を。


「にぃの~~~!にのにのにのってばぁ!」


期待してた声と足音に顔がにやつくのを抑えて

いつもの面倒くさいって顔と声を向ける。


「そんなわめかなくったって聞こえますよ。

本当にうるさい人ですねぇ。」


「なぁんだよー。せっかく追いかけてきたのに。」


「頼んでませんけど?」


「いーの!俺が気になったの。お前、薄着すぎ。

それで帰る気?風邪ひくよ?」


優しいあんたがそう思ってくれるって

分かってるから薄着なんだよ。

わざとだって言ったらどんな顔すんの?


「じゃ、遠慮なく。」


そう言って相葉さんの首からするりと

マフラーをはぎ取って自分の首に巻きつける。


「うん、あったけー。」


「そ?って、そうじゃなくて!」


「なによ。」


「俺、車だから。乗ってけって。」


それも、分かってますよ。

あんたがそうやって俺と2人になりたがってるって事も。


一緒にいる事が当たり前過ぎて

特別なんだって気付くのに時間がかかり過ぎたんだ。

だからって今さら、なんて思えない。

あんたも思ってないよね。

だから今日こそ尻尾つかませてよ。

決定打を打つチャンスをこぼしてみせてよ。


「あ、そだ。とりあえずコレ。」


暗い車の中で渡されてもなにか良く分からない。


「なにこれ、布?」


「ショールって言えよ。松潤に借りてきた。」


「ふぅん。こんないーもんあるんだったら

外で渡しなさいよ。」


「追いつくのに必死で忘れてた。

つーか。にの帰るの早すぎだって。」


言いながら車をスタートさせる相葉さん。

身体にショールを巻きつける俺。


…さっきの。必死に追いかけてきてくれた

相葉さんの顔を思い出す。

俺を見つけて嬉しそうに笑ったあの顔。

大好きな、太陽みたいな、明るい…


そこまで考えて自分の思考に恥ずかしくなって

聞こえてるはずないのに誤魔化すように

どうでもいい言葉を放つ。


「あ、コレすっげーあったかいわ。

さすが松潤。たっけーんだろうなあ。」


「ふふ。松潤だからねぇ。」



沈黙。



いつもなら次から次へと続く会話が止まるなんて

俺、緊張してんのかな。

やべぇな。尻尾つかむどころじゃない。


(つづく)








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