お腹が痛すぎて全然レッスンに集中できない。


「夏鈴ちゃん、ここのところちょっと遅いよ」



ダンサーさんに何回注意されてもできるようにならない。


「…よし。きょうのところはここまで!ありがとうございました!」


自主練をする数人を除いて、みんなが帰っていく。

私はもっと練習しなきゃ。

みんなの足を引っ張ってしまった。





どれくらいやっただろう。

いつの間にか集中していて、お腹の痛みも消えていた。

気づいたら自主練をしていた由依さんも天ちゃんも帰ってひかると二人きりだ。

振り向いて時計を見ようとしたとき、目が回るような感覚がした。








目が覚めたら私は天井を見ていた。



ひかるの声が聞こえる。


何があったんだっけ。


「夏鈴ちゃん!?大丈夫!!?」




ひかるの声を聞いて状況を理解した。

寝てたんじゃなくて、一瞬気を失って倒れたんだ。




夏「…んん…ひかる…」

ひ「ああっ、無理に起き上がらんとって」


起き上がろうとしたけどうまく力が入らず頭をもう一度元に戻される。


「…なんか頭が…ふわふわする」

「そっか。。貧血かもね。ちょっとこのまま落ち着くまでまとっか。」




貧血。私が今まで全く無縁だった言葉だ。



少し気持ち悪さとかが落ち着いてきた。


「ひかる、ちょっとマシになった。ありがと」






「夏鈴ちゃん、貧血もってたっけ」


私は首を振った。頭が動いてまたぐわんぐわんする。



「…もしかしたら、生理だからかな。私はいっつもなるんだけど、夏鈴ちゃん軽い方だったよね。」




考えられるとしたらそれしかない。




「もしかして生理重いことずっと私たちに隠してた…?」

「え、そんなことないよ」

「でも」

「いや違うの。その…」





仕方なく私はひかるに2年間生理が来ていなかったこと、久しぶりに来たと思ったらめちゃくちゃ重くなってたことを伝えた。




ひかるには予想通りめちゃくちゃ心配されて、結局家まで送ってもらって晩御飯まで作ってもらった。



よかった…2年間病院に行ってないこと、何とかバレなかったな。

バレたらとんでもなく怒られるからこのまま気づかないでいて欲しい。





「じゃあそろそろ帰るね夏鈴ちゃん」

「うん。わざわざごめんね、ありがとう」

「全然いいよー今日はゆっくり休んで。また落ち着いたら話聞かせてね」

「話?」

「なんで病院に行ってなかったか。しっかり教えてもらうからー」




帰り際にバレた。というかバレてた。

あの笑顔、めっちゃ怒られるやつだ。

このまま生理が終わらない方がいいのかもしれない。