玄関のベルを押すと、小柄でやせた中年女性が奥から出てきました。
山田に紹介されなかったら、
霊的な能力を持つ人には見えないほど平凡な容姿で、
ごく普通のおばさんです。
玄関先であいさつを済ませると、奥の間に通されました。
部屋はそれほど広くありませんが、多くの中年女性が集まっていて、
忙しそうに食事の支度をしています。
山田は言いました。
「先生、こんなことって初めてですよね。料理がたくさんあって、赤飯まであるじゃないですか。これから何か始まるんですか?」
「そうなの。上からの神示があったので、今年から皆さんに手伝ってもらいながら、全国各地の聖地を訪ねます」
青山先生によれば、
日本を守護している国常立命大神(くにとこたちのおおかみ)がバラバラの形になっている。
この神は日本列島そのものであるから、
全国各地を訪れて聖地にパワーを注入することにより、
神の機能が活性化する。
こうなれば日本がよくなる、という話でした。
でも、わたしにはがてんのいかないことばかりでした。
神の体を人間が治すことができるのか。
だいいち、神の体がバラバラの状態になるものだろうか。
青山先生のように特別な力がある人が行くならいざ知らず、
なんの霊的能力のない人たちまで同行するのは意義があるのだろうか。
