春の柔らかな光が降り注ぐ日、私は静岡の奥座敷、大井川沿いへと足を運びました。
そこには、時を止めたかのようなノスタルジーと、現代の洗練が心地よく調和する、豊かな時間が流れていました。
緑茶の香りに包まれる「KADODE OOIGAWA」
旅の始まりは、現代的な感性が息づく**「KADODE OOIGAWA」**から。
ランチはSLに抱かれたレストラン「Da Monde」で愉しむ地産地消の恵み
さて、旅の楽しみといえば、その土地の恵みをいただくこと。
ランチは、KADODE OOIGAWA内にある**農家レストラン「Da Monde(ダ・モンデ)」**へ。
ここはなんと、全国初の「SLに挟まれたレストラン」。
足を踏み入れると、木の温もりあふれる高い天井に、繊細な意匠の和モダンな照明が映え、洗練された大人の空間が広がります。
窓外をSLが通過するその瞬間は、まさに圧巻。
大井川流域で育まれた新鮮な野菜を主役にした創作料理の数々を、鉄路の鼓動を感じながら五感全体で味わう。
それは、他のどこにもない、最上の食体験でした。
新緑のパーシーとの出会い
レストランでのランチを楽しんでいるとふと、遠くから軽やかな汽笛が聞こえてきました。
門出駅のホームに姿を現したのは、鮮やかな緑を纏ったパーシー。
物語の中から抜け出してきたかのようなその愛らしい姿は、大人の遊び心を優しく刺激し、旅の気分を一気に華やがせてくれます。
新金谷駅から、鉄路の旅へ
心もお腹も満たされた後は、大井川鐵道の要、新金谷駅へ移動。
長い年月を経て艶を増した駅舎の文字や、漆黒の重厚な輝きを放つ蒸気機関車姿には、静かな威厳が宿っています。
ホームは、古き良き昭和の気品に満ちていました。
車窓を彩る「桜とこいのぼり」のシンフォニー
ゆっくりと動き出した列車の窓外には、この季節だけの特別な風景が広がります。
家山へと近づくにつれ、車窓を淡いピンク色に染める満開の桜。
大井川の河原に悠々とたなびくこいのぼりが、春の風と戯れる姿は、一幅の絵画のような美しさでした。
家山駅に漂う静謐な時
旅の終わりは、静かな佇まいの家山駅で。
かすかに掠れた駅名標や、ホームで静かに客を待つ電車の風情。
窓から顔を覗かせる車掌さんの穏やかな眼差しに、心の澱が溶けていくのを感じます。
便利さばかりを追い求める日常から離れ、汽笛の音に耳を澄ませる。
そんな「心の洗濯」とも言える優雅なひとときが、ここにはありました。





