らくがき

らくがき

書きたいときにつらつらと。
大人向け。

「いい質問ですね」みたいな感じで「いい血管ですね」と言ってもらえたが、点滴はうまくいかなかった。


毛布をかぶり、熱いおしぼりをもらって手を温めながらグーパーグーパーし、緊張しないように心の中でずっとふざけること数十分。

しごできな看護師さんが頑張ってくださり、成功の瞬間をともに喜んだ。


春だからなのか、新人と先輩の看護師がペアでバイタルチェックに来ることが多かった。ただ、最も警戒したのは「前に入院されてましたよね?覚えてます〜」と自ら言ってきた方である。私はその方のことをまったく覚えていなかった。

たくさんの患者さんをみているはずのに、いったいぜんたい私のなにを覚えているんですか?!私なんか怒らせました?!体調がひどく悪いときか意識ないときになにかしでかしましたか?!こわいよ!!


昨晩の重湯とOS1以降は絶食しており、下剤も服用しているためお腹はからっぽだが、音楽を聴いていると気分が良かった。外は風が強そうで、洗濯物がはためいている。いい天気だ。


覚悟は決めていた。あのとき気がかりだったのは、麻酔から覚めるときまた苦しいのかなということと、退院後の生活であった。


前回は朝イチの手術で、オペ室のあるフロアの前室の雰囲気も張り詰めた感じがあった。今回の前室の雰囲気はそれと比べると穏やかで優しかった。コンタクトレンズをしていないから相変わらず視界はぼんやりとしていた。


前回は緊張で気にしていなかったが、オペ室はすこし暖かく、手術台もお風呂みたいに温かく、美容院でホットタオルを当ててもらったときのように体の緊張は和らいだ。


マスクや術衣をとり、背中を丸めて麻酔科医の先生に硬膜外麻酔をしてもらう。確かにキシロカイン打つときの痛みとは種類が違うけど、別の強い圧を伴う不快感はあった。

なにかを背中に刺して繋いだ状態でどうやって手術台に仰向けに戻るんだろうと思っていたが、カテーテルって柔らかくて全然気にならないんだね。

オペ室でも新人が先輩に指導を受けていた。


じゃ麻酔入れていきますね、みたいな声かけがあって、今回は強制的に眠らされる不快感もなく、上手に起きることもできた。


***

傷自体は大きくなるが開腹手術のほうが時間は短いはずで、執刀した医師にとってもおそらくひどく難しいような類のものでもなかったはずで、先生の表情からそのことを察した。


意識は明瞭で、まったく苦しくなく上手に起きたことが私はとても嬉しかった。オペ室の先生の顔も、前室にある時計がさしていただいたいの時刻も覚えている(前回は朦朧としていた)。るんるんしていた。麻酔のせいもあるだろうけど、ひとつ終わった、ということがとてもとても嬉しかった。


病室のベッドに戻った。

酸素マスク、フットポンプ、尿道カテーテル。排液管理のドレーンはなかった。胸元に痛み止めのカチカチとナースコール。左側に点滴。

あの時とあまり変わらないな。


喉の違和感でたまにゲフンと咳払いしたときにお腹が痛い。そして、やっぱりお腹が空いていた。


当時のメモ