(初出:2014年8月7日)

 「彼らの夜明け」の原型となった漫画を、昔、中学生の頃に初めて30ページのストーリー物として描きました。

 十代の頃は漫画家志望であり、30ページという枚数は新人賞へ応募することを意識してのものだったわけです。高校生になってから何度か応募してみましたが、全くカスリもせず。松本零士先生風に言うならさしずめ、夢が時間を待ち切れなくて諦めてしまい、やがて夢は消えてしまった、といった感じでしょうか。

 まあ、それはともかく、最初の30ページ物は魔女と吸血鬼のラブコメ風な話でした。魔女・サイア(「サイア」という名前は最初からです。日本名は何度か変わっています)は吸血鬼・純(当時は違う名前でしたが、現在の設定で統一します)に一目惚れします。純はとてもナイーブな吸血鬼で、とある事件をきっかけに自殺を考えます。しかし、夜明けの太陽の前に出ても何の変化も起こりません。

「君は俺に何をした?」

「魔法の力で、太陽とか十字架とかニンニクとか、吸血鬼の弱点を消し去ったの」

「いつの間に……でも、なんでそんなことを?」

「あなたが好きだから! これからはわたしがずっと側にいてあげる! だから! だから、もう二度と死のうとなんてしないで!」

 まあ、概ねそんなお話です。

 その時のサイアは黒髪のロング、魔女のスタイルや魔法は基本的に「奥様は魔女」の設定に近いものでした。

 

 それ以降も何本か30ページのストーリーを描きました。尾梶安男(彼だけは名前もキャラデザも終始一貫変わっていません)や霧島真作(苗字は最初、アホな話ですが「高杉」でした)や長沢兄妹、瑞南渚も登場し、更には本家本元の吸血鬼も出て来ます。

 それらの漫画原稿はもはや現存してはおりませんが、まあ、青春時代の良き思い出であります。