(初出:2013年1月3日)

 音楽担当の松城和矢に加えて、デイビッド・コルティとハンス・シュピールベルクが正式に『アケノ様の御屋敷専属楽団』のメンバーとなりました。リーダーは和矢くんです。デイビッドやハンスを差し置いて自分がバンマスなどおこがましいと、和矢は固辞しましたが、デイビッドもハンスも頑として認めませんでした。

 これ以降、専属楽団は錚々たるゲスト達──地球に限らず外宇宙や果ては異世界でかつて活躍した名演奏家たち──を迎えつつ日常的に奇跡のような素晴らしいセッションを繰り広げていくことになるのです。

「はあ……本当に聞き惚れてしまいますね……」

 定期的に保養に訪れていらっしゃるキヨメ様が溜息をお付きになりました。

「いつでもこのような最高の演奏が聴けるなんて、この御屋敷はますます素敵な場所になりましたね」

「はい、御陰様で」

 小女神ちゃんの御姿をされたアケノ様が微笑んで頷かれます。

「そして、ガーディアン・エンジェルズたちがせっせと御花畑のお世話に勤しんでくれるお陰で、花々も色鮮やかに芳しく咲き誇っていて、誠に喜ばしい限りです」

 キヨメ様は庭園の方へ視線を移されて仰いました。

「ええ。あの子たちを推して下さったのもキヨメ様でしたね。本当にありがとうございました」

 

 キヨメ様の他にも、多くの神々が骨休めをするためにこの御屋敷を訪問なさっては、口々に賞賛の御言葉を投げかけて下さいます。ここはまさしく、神々と天使達の楽園なのです。

 

やがてそれは、我々の住む現実世界を支える力として波及して行くことでしょう。