義弟親子の世話をするようになって1ヶ月。
その生活に慣れては来たものの、毎日疲れ果てイライラも募ってきていた。
我慢の限界もここまでと、思い切って鬼婆に提案してみた。
「Tさん(義弟)達も、いつまでもここに居たら気を使うでしょうし
子供たちも、友達と遊びたいでしょうから
お母さんが向こうの家に行って、お世話してあげたらどうですか?」
鬼婆がこの提案を承諾するはずは無いと思ったが、
どんな反応をするか、見てみたいという気持ちがあった。
「何でワシが行かないかんのや!
仕事も行かんならんし、そんなことできるか!」
そう言うと思っていた私は、次の言葉を用意していた。
「でも、お母さん、車で出かけるのお好きだし
Tさんの家から職場まで10分の距離ですよ。できますって。
Tさんも、お母さんに来てもらえれば嬉しいんじゃないですか?」
今回は、私が勝ったようだ。
それ以上何も言えなくなった鬼婆は、そこら中の物に当り散らしながら
外へ出て行ってしまった。
言い返してこないと言う事は、私の提案を呑んだということなのか?
あまり期待はしていなかったが、自分の言いたいことだけは言えて
ほんのちょっとだけ、気持ちが軽くなった。
このことは、おぼっちゃまくんにも話してあったので、
彼からも、鬼婆が向こうへ行って世話をしてあげるようにと
言ってくれたようだった。
その日の夜も、いつもと変わらず夕食のあとに子供たちの宿題を見てやり、
明日の持ち物を点検し、子供たちを寝かせていた。
義弟が食事を済ませた頃、私は鬼婆に呼ばれ居間に行ってみると
「お姉さん、お世話になりました。明日帰ります。」
義弟から、挨拶があった。
「C子さん(義弟のお嫁さん)、もう退院してくるの?」
私が聞くと、
「いえ、まだまだです。」
と、返って来た。
「じゃあお母さんが、そちらの家に行かれるんですね?
子供たちにとっても、その方がいいわよね。」
「・・・・・・」
義弟は黙り込んでしまった。
翌朝、朝食が済むと3人は荷物を持って出て行った。
おぼっちゃまくんには挨拶もせずに・・・
義弟達が出て行った後、私は鬼婆に聞いた。
「Tさん達、どうして急に帰ると言い出したんですか?
「お母さんが行ってあげるんじゃないんですか?」
すると鬼婆は、額や首に青筋を立てて怒鳴ってきた。
「ワシは行かんて言うたやないか!
M男(おぼっちゃまくん)が、T達の面倒は見てやれんて言うたで、
怒って帰って行ったんやないか!」
ええ~~~?
そんな言い方すれば、誰でも怒るわ![]()
私は、「面倒見てやれん」なんて言い方はしていない。
ただ、鬼婆が何もしてやらないことに腹が立っただけである。
おぼっちゃまくんに聞いても、そんな風には言っていないと言う。
それなのに、さも私達が邪魔者扱いしたかのような言い方をして
鬼婆は自ら、自分の息子達を引き裂くようなことをしたのだ・・・