「それじゃぁ、ハンバーグを作ろうとしよう!」
気合い入りまくりの友梨奈は積極的に準備を始める
「博士、私は何を手伝えば?」
「理佐君はそこで見守っていてくれればいいいよ」
「大丈夫ですか?」
不安しかない私は確認の為に聞いてみる
「大丈夫なはず」
はず?自信があるわけじゃないなら…
でも友梨奈なりに一生懸命作ろうとしてるならそれを尊重してあげるのも大切だよね
「何か手伝いが必要な時は言ってくださいね」
「わかった」
真剣な顔をしてスマホのレシピを見ながらハンバーグを作っていく
普段そこまで料理をするわけじゃないから、決して手際がいいわけじゃない
でも一生懸命、ハンバーグを作っている友梨奈はとてもカッコよくて素敵だ
こんな一面もあるんだなと嬉しくなりながら、トキメイてしまう
また友梨奈に恋しちゃってる
じっと見つめ続けていると
「理佐君、そんなに見つめられたら緊張しちゃうじゃないか」
「頑張ってる友梨奈博士が素敵すぎて見惚れてしまって」
「照れるから言わないで、間違っちゃいそうだし」
顔を真っ赤にしている友梨奈が可愛い
こんな休日の過ごし方も悪くないなぁ
たまにでいいから料理している友梨奈を見ていたいなぁ
「料理してる友梨奈をまた好きになっちゃった」
「手元が狂うからそんなん思ってても言ったらダメだよ」
「思うのはいいんだ」
「私にだけね。他はダメだよ」
「はーい笑」
「聞き分けが良くてよろしい笑」
照れながら、顔を真っ赤にしながら材料をこねて、形成していく
綺麗な形にはなってないけど、愛情がたっぷり込められているのが伝わってくる
「よし!煮込み用と焼き用が出来た!」
満足そうな顔にキュンとしてしまう
なんて可愛いの
「美味しそう。食べるの楽しみだな」
「そう言ってくれると作りがいがあるね」
「私にもたまには言ってほしいな」
「いつも言ってるはずだけど?」
「作ってる時にそばにいて欲しいの」
「可愛い事言うね」
「茶化してるでしょ?」
「本当に可愛いって思うよ」
真っ直ぐな眼差しで言われるとドキドキしてしまって…やっぱり友梨奈が好き
それが溢れて私まで照れてしまう
「大好きだからね」
「そう言ってくれてありがとう。私も大好きだよ理佐」
煮込み用の鍋を準備して、煮込みハンバーグから作っていく
「博士、味付けはどうするんですか?」
「理佐君、ここからは企業秘密なんだ。まぁ、言えるとしたら友梨奈スペシャルって事だけかな?」
「友梨奈スペシャル?」
「そう。友梨奈による、友梨奈の為の、友梨奈にしか出来ない味付け。だからリビングに戻っておくれ」
私はリビングに追いやられてしまった
不安しかない…
どんな味付けになるのか見えない、わからないってこんなに恐ろしいなんて
キッチンからは
「あっ!」
「ヤバっ、入れすぎた?大丈夫、大丈夫」
「こっちじゃない」
「これでいいか」
そんな声が聞こえてくる
想像出来ないからさらに恐怖が増す
キッチンは無事だろうか?
食材はちゃんと料理として扱われているだろうか?
キッチンから漂ってくる匂いはいい匂いがしている
大丈夫そうかな?
煮込みハンバーグは落ち着いたのか、焼きハンバーグに取り掛かったらしい
「熱っ」
「はねた」
「あぁ、崩れそう」
「ちょっと焦げたか?大丈夫、大丈夫」
焼きハンバーグも不安な声しか聞こえてこない
本当に1人で大丈夫なのかな?
見に行ったら、機嫌損ねるよね…
あぁぁ…不安しか感じられないのはなんでだろう…
でも匂いは多少焦げ臭さを感じなくもないけど、大丈夫な範囲
友梨奈を信じて待つしかない
不安になりながら待っていると
「出来たよ〜」
と友梨奈が料理を運んでくる
まずは煮込みハンバーグを鍋ごとと、取り皿をテーブルに置く
焼きハンバーグはお皿にちょっとした野菜と一緒に
見た目はお世辞にも美味しそうじゃないけど、一生懸命作ったのが伝わってくる
「じゃぁ、理佐食べよう」
そう言う友梨奈を見ると…
「友梨奈、その格好…」
「あっ、ちょっとついちゃった笑」
ちょっとのレベルじゃない
エプロンの大切さがわかるレベル
髪にも顔にも何かしら飛び散ったようなものがついている
「友梨奈、食べたらシャワー浴びようね」
「う…うん」
「冷める前に食べよう!友梨奈、作ってくれてありがとう」
「いざ、食べ比べようぞ!」
「いただきます」
「いただきまーす」
2人でまず焼きハンバーグを食べる
「美味しい。すごく美味しいよ友梨奈」
「本当だ、想像してた味と違うけど食べれる味になってるね笑」
想像してた味と違うって…
どう味付けしたかったんだろう…
「煮込みの方も食べていい?」
「いいよ。取ってあげるね」
煮込みハンバーグを取り皿に乗せてもらう
匂いはとても美味しそう
トマトベース?デミグラスベース?
まずは一口
色々混じった味はするけど、それが逆に美味しく感じる
「煮込みも美味しいよ!」
「本当に?ちゃんと味になったんだ」
すごく怖い発言は今はスルーしよう
「友梨奈も食べてみなよ」
「うん!」
友梨奈も煮込みハンバーグを食べる
「自分で作った煮込みハンバーグの味はどう?」
「食べ物にちゃんとなってるー!良かったぁ」
相変わらず怖い発言だけど、スルーしてあげる
「美味しいね」
「うん。ある意味奇跡の味、友梨奈スペシャルだよ」
奇跡の味って、どう奇跡なの?
怖くて聞けない
聞けないけど、美味しいから許す笑
「すっごく美味しかった。友梨奈、ありがとう」
「私も食べれる味になるか不安だったけど、食べれる食べ物になって良かったよ」
「また作ってくれる?」
「理佐が望むならいつでも喜んで」
「後片付けは私がやるね」
「ありがとう。なら私はシャワー浴びてくる」
そそくさとシャワーを浴びに行ってしまう
私は不安を感じてキッチンに向かう
やっぱり…キッチンは戦場のような有り様だった
「友梨奈!」
「あとはよろしくー笑」
ハンバーグは美味しかったけど、あれから私は友梨奈1人でキッチンに立たせる事は2度となかった笑
煮込みハンバーグと焼きハンバーグ
どちらが美味しいかは、どちらも美味しい結果に終わりましたとさ
おわり