裁縫はとても難しい
でもクラスメイトに教えてもらって、なんとか形になりそうなものを作れそう
私を拾って面倒見てくれる理佐姉に何かを返したくて、御守り入れを作っている
これなら小さいからカバンに入れて持ち歩けるし、私の作ったものを理佐姉が毎日持ち歩いてくれるしね
部屋に籠もって、宿題する振りをしながらせっせか作る
なかなか思い通りに作れない
縫い目が曲がったり、雑になってしまったり、裁縫は難しいけど、心を込めて作る
「ただいまー」
理佐が帰ってきた!
「おかえりなさい。今日もお疲れ様」
「友梨奈は何してたの?」
「宿題してたよ」
「偉いねー。今から夕飯の用意するからね」
「私も手伝うよ」
「ありがとう、助かる」
家では夕飯の手伝いなんかした事がなかった
そんな暇があるなら勉強しろばかり
理佐姉はお手伝いすると、料理の作り方や色んな事を教えてくれる
少しずつだけど私も料理が作れるようになってきた
理佐姉には感謝しかない
出来る事ならこの時間が長く続いて欲しい
家には帰りたくないのが本音…
夕飯を作って、一緒に食べる
「今日はちょっと忙しかったから友梨奈が手伝ってくれて助かったよ」
「それなら良かった」
「友梨奈の手際の良さも上達してきたしね。もうあとちょっとで私がいなくても1人で作れちゃうんじゃないかな?」
「そしたら理佐姉にご飯作って待ってあげれるよね」
「それは楽しみだなぁ。友梨奈はちゃんと宿題もして、お手伝いもしてくれるから」
宿題…裁縫に夢中になって本当はやってない
バレたらやっぱり怒られるかな…
寝る前には終わりにしなきゃ…
後片付けも終えて、理佐姉に先にお風呂に入ってもらってるうちに宿題に取り掛かる
なんとか終わって、裁縫の続きにも取り掛かるけど、なかなか苦戦
「友梨奈、お風呂出たから入りな」
理佐姉が部屋の前に…
慌てて裁縫道具を隠す
部屋のドアを開けられたけどギリギリセーフ、見られなくて良かったぁ
「まだ宿題終わってなかった?」
「ううん、わからなかった所を復習してただけだよ」
「そうなんだ。偉いね」
「そんな事ないよ、お風呂入ってくるね」
「ぬるくなってたら追い焚きしてね」
「はーい」
はぁぁ…、内緒でやるのも大変だ…
鶴の恩返しの鶴ってこんな気持ちだったのかな?
鶴さんも見られないように、はた織り大変だったろうな
私は最後まで見つからないよう頑張らなきゃな