「新入社員の子と付き合ってるの?どうなの?」
理佐の剣幕はすごい
でも…可愛い
ムキになった顔もキュンとしてしまう
「友梨奈?ニヤついてないで答えて!」
「ニヤついてなんか」
「ニヤついてた。やっぱり付き合ってるだ?」
「付き合ってないよ、ねぇ、おぜ」
隣にいたはずのおぜがいない
「尾関なら巻き込まれたくないと言わんばかりにさっさと逃げたわよ」
おぜ〜、こんな時に二人きりにしないで〜
「そうなんだ…おぜは逃げたのか…」
「で?付き合ってないの?」
「付き合ってないよ」
「じゃぁなんでニヤついてたの?」
「理佐に話しかけられたのが嬉しいのと、怒った顔もやっぱり可愛いなぁ〜って思って…」
「なっ、何言ってんの?そうやってまたはぐらかそうとして。こっちは真剣なのに!そんなんだから私に2回も3回も言われても同じ事をくり返せるんだよ」
「うっ…」
図星過ぎて返す言葉もない…
私は理佐にやめてねと言われた事をつい忘れてしまう事が多かった
怒った理佐にキュンキュンしすぎてちゃんと話を聞かずに聞き流しては同じ事を繰り返してしまっていたから
私は他の人とはちょっと喜びや嬉しさのツボが違う
理佐はいたって普通だから私の変なツボりに余計、腹が立つんだろうな
理佐が悪いよりは、普通はみんなそうなんだと思う
私も理佐を好きになるまではツボる部分は周りと同じだった
理佐と出会って理佐を好きになってからツボる箇所が大幅に増えてしまっただけ
「付き合ってないならいい」
「理佐は私と新入社員が付き合ってたらなんでそんなに怒るわけ?うちらはもう別れたのに」
「それは…」
「それは?」
「友梨奈が私に約束したから。別れてもずっと私を想ってるって…新入社員と付き合ってるって話を聞いて、私への好きはそんなだったんだって思ったら腹が立って」
なんかもう、好きだなぁ…
そんなん言われたら好きが止まらなくなる
本当に理佐は可愛すぎて…
胸がキュンキュンする
どうしようもなく私は理佐が好きだ…
目の前で一生懸命、言い訳みたいに話してくれる理佐が可愛くてたまらない
「変わらないから」
この素直な気持ちをちゃんと伝えよう
「えっ」
「私の気持ちは変わらないよ。理佐を好きだって気持ちは、別れても、振られても変わらない。別れた時に言ったのと同じ。ずっと、ずっと理佐だけだよ」
「バカじゃないの」
「バカだと思う笑。そうだとしても理佐が好きだし、理佐以外はあり得ないから」
私はどんな理佐をぶつけられても理佐が好き
理佐がいいって思う
他の誰でもない理佐がいい
「ちゃんと変わってよね」
「ふぇっ!?」
「一旦、別れたのは無しにしてあげるから、ちゃんと変わってよね。私の話はちゃんと聞く。嫌だって言った事はしないで。2回も3回も同じ事は言わせないで」
「自信はないけど努力はする」
「なんで自信もってうん!って言えないのよ?」
「だって、怒ってても可愛くてめちゃくちゃ好きって思っちゃうんだもん」
「本当に………だけど…」
「えっ?何?聞こえなかった、もう1回言って」
「ニヤついてるから聞こえてたでしょ?」
「聞こえてないよ、聞き取りやすく言ってよー」
「言わなーい。気が向いたらね」
「理佐の意地悪」
本当はちゃんと聞こえていたよ
"そんなダメな所も好き"だけどって
理佐もなんだかんだ言いながらも私のダメな部分を理解して、好きでいられるのは私だけって周りに言ってるの知ってるんだ
言うと怒られるから言わないけど笑
後日、理佐に噂を吹き込んだのはおぜだとわかって、おぜは理佐にたんまり叱られたらしい笑
でも私はまた理佐と付き合えるようになったから、今度、おぜには感謝を込めてご飯奢ってあげるんだ
おわり