このごろ友梨奈がコソコソと何かしている

私が近づいた気配を察すると、何かを隠しているみたい


そんな事が数日、続いている

まるで鶴の恩返しの鶴のようにコソコソと何かやっているのは確かだけど、話したがらないから私も気づかない振りをしてる


そんな日が続いてる日の朝


「友梨奈、指どうしたの?」


友梨奈の指に絆創膏が貼られていた


「ちょっと工作の作業中に…」


それ以上は話したくないのか、最後まではっきりと言わない


「気を付けてやるんだよ」

「うん」


本当に何をしているのか気になるけど、友梨奈が夢中になってやれている事があるならそれを削ぐような事は言いたくない


友梨奈から話してくれるまで我慢、我慢


友梨奈をあずかってから大変な事もあるけど、あずかって良かったと思う


どうしてそうしたくなったのかは正直、自分でもわからない


友梨奈を見つけた日、私は残業で帰りが遅くなってしまった


真っ暗な道を早足で歩いていると、目の前にまだ学生くらいの子が歩いている


周りをキョロキョロしながら、かなり挙動不審な様子


迷子になったのか、誰かの家を探しているのか、不審者には変わらないからゆっくり跡をつけてみる


公民館の方へ入っていくのが見えたから、誰かと待ち合わせかもしれない


でも犯罪に巻き込まれていたらと思い様子を伺っていたけど、誰も現れる様子がない


あの子自身も様子がおかしかったから、もし体調を崩していたらと私も公民館の中に入ると裏のベンチで寝ているみたいで…


家出でもしてきたのかな?と

とりあえず、あのままにしてはおけないから声をかけようと近づいて、その子の顔を見ると、私の心がざわついた


なんと言い表したらいいかわからない感情

この子をもっと知りたい…違う持ち帰りたいそんな感情


黙って連れて帰るわけにはいかないから声をかけると家出してきたと


本来なら親御さんに引き渡すか、警察に連れて行くべきなんだろうけど、私が連れて帰りたい気持ちの方が強くて、親御さんと交渉する提案をあの子にしたら、交渉成立となったわけで…


私があの子、友梨奈をただ連れて帰りたかった私情だとは友梨奈は知らない


私を親切なお姉さんくらいに思っているけど、一緒にいるうちにどんどん手離せなくなってきている


友梨奈をもっと知りたい

友梨奈との仲をもっと深めたい感情は日に日に増していく


でもまだ焦って距離は詰めない

嫌われないように、慎重に距離を縮めて…


だけど、コソコソ何をやっているのやら


「ねぇ理佐姉」

「うん?」


「色々ありがとう」

「どうしたの急に」


「なんか言いたくなったから」

「お礼なんていいよ」


「ここは居心地がいいからまだ居てもいい?」

「友梨奈が帰りたくなるまでいていいよ」


「ありがとう」


そう笑う友梨奈が帰りたいと言ったら私は離れられるか自信がない…

きっと私のこの気持ちは…

友梨奈に対するこの気持ちは…


今はまだ気づかない振りしてお姉さんを演じないとな