休憩時間を終えてホールに入る


客の入りはそこそこだな

ちょうど帰っていくお客さんの会計をして、座っていたテーブルを綺麗にする


あとは大丈夫かな?とバックに戻ろうとしたらオーナーが入ってきた


私は急いで入り口に向かう


「いらしっしゃいませ。お一人ですか?」

「はい」


「こちらへどうぞ」


空いている中でも1番座り心地の良い席へ案内する


「ありがとう」


オーナーはその席で大丈夫なようだ


「ご注文が決まりましたら、ボタンを押してください」

「はーい」


一旦離れる

オーナー綺麗だな

こうして他のお客さんの中にいるからか、余計に綺麗に見える


注文が決まったようだ

私はオーナーの席へと行く


「ご注文、決まりましたか?」

「はい。コーヒーとオムライスをお願いします」


「はい。ではご注文を繰り返します。コーヒーとオムライス。コーヒーは食前、食後、どちらになさいますか?」


「食後でお願いします」

「はい。わかりました。ではお待ちください」


オーダーをキッチンに伝えてホールに戻る


帰っていくお客さん、入ってくるお客さんの対応をしていく

少しずつ混み始めてきた


さっきからずっと視線を感じる

オーナーが目をそらさずに見てくるからだ

私も気になって何度も見てしまう


目が合うとこっそり手を振ってくれたり、笑顔になったり

もし恋人とかがバイト先に来てたりしたらこんな感じなのかな…


そんな想像をして1人照れる


キッチンからオムライスが出来上がったようで、オーナーの席に運ぶ


「ご注文のオムライスです」

「美味しそう」


そう目を輝かせたオーナーを見て私の心臓がキュンとなった

本当に可愛い人だなぁ

綺麗でもあって、可愛くてなんて最高じゃないか


こんな綺麗で、可愛くて、オーナーもやっているなら恋人は普通にいるよね…


前に副店長とって噂を聞いた気がするし…

副店長がライバルなら勝ち目なさそう…


「ごゆっくりどうぞ。食後のコーヒーはまたボタンを押してください」

「はーい」


オーナーが可愛くオムライスを食べている間、ホールはその間、忙しさを増す


もう一人ホールスタッフが入り対応していく


何度かチラチラとオーナーの方を見ると、食べているのに目が合うと合図をくれる

それを見て私の心臓はキュンとなる


バックに戻った時に別のホールスタッフから、恋人なのかを聞かれた

オーナーだとわからないらしい

私も最初はわからなかったから、オーナーの顔を知っているスタッフは少ないのかな


恋人って質問にどう答えていいか分からず笑って誤魔化したら、そうなんだねって解釈されてしまった…


オーナーの席のベルがなって、別のホールスタッフが行こうとしたけど、平手さんの恋人の席だからと、私に行かせてくれた


「お呼びですか?」

「あの子だれ?」


「あの子とは?」

「今、バックで話してた子」


「同じホールスタッフですけど…」

「すっごい楽しそうに話してたじゃない」


「楽しいというか…」

「何、話してたの?」


「気を悪くされないでくださいね」

「なに?」


「オーナー」

「オーナーって呼ばないで」


「ご、ごめんなさい、渡邊さん」

「理佐、呼び捨てで呼んで」


いきなり下の名を呼び捨て?

私の心臓、えらい速く動いちゃってるよ


「り、理佐が私に合図してくるんで恋人なのかと…」

「なんて答えたの?」


「笑って誤魔化したら、肯定と取られたようです」

「それならいい」


「いいって」

「私達は恋人って事でしょ?平手…下の名前は?」


「友梨奈です」

「友梨奈と私は恋人って事。否定しなかったんだから私達は恋人よね」


「否定しなかったからそうなりますかね…」

「なるの!」


「はい…」

「嫌なの?」


「そんな事はありません」

「コーヒー持ってきて、話してて、手ぶらで戻ったら、店長嫌味言ってくるかもしれないから」


「はい」


コーヒーを取りにバックに戻ったけど、店長は忙しそうにしていたからバレてなかったようだ


コーヒーを淹れて理佐の席に運ぶ


「お待たせしました」

「バイト、何時に終わるの?」


「今日は9時です」

「迎えに来るから」


「えっ?」

「迎えに来るから」


「はい。待ってます」

「よろしい笑」


迎えに来るからって、本当に恋人みたい

私はとても嬉しい気持ちでいっぱいだ


コーヒーを飲み終えて、私の仕事ぶりを少し監視笑した後、理佐がレジの前に立った


私は急いでレジに行く


「お会計は◯◯◯◯円です」

「はい」


普通に現金で支払ってくれた


「ありがとうございました。またお越しください」

「また9時にね」


「はい」


私はバイトが終わる時間までご機嫌で仕事した