本屋に入り雑誌コーナーに行く


しかし…ここでも私はわからなくなる

なんの雑誌買うんだっけ…

いつもなんの雑誌を買っていたんだっけ…


こうなると途端に私の頭はパニックに陥る

わからない、どうしよう、何を買うんだっけ…頭の中でゴチャゴチャと雑音に変わる


この瞬間、私の目は回りそうなくらい頭の中が大運動会並みの処理をしようとする


そもそもなんで私は本屋に来たんだろう…

なんで本屋にいるんだろう…

いつから本屋にいるんだろう…

ここにリセットされる


スマホを確認すると雑誌発売日と書いてあるから雑誌を買いに来たんだと思い出す


なんの雑誌を買いに来たんだろう?

いつもなんの雑誌買ってたんだっけ?


またこれを繰り返していく

周りの音も何も耳にも目にも入らない


私だけの世界に入り込んでしまう

リセットされた部分から何度も同じ思考が繰り返され、私は私の世界に深く堕ちる


そんな私を引き戻してくれる声…


「理佐さん、ありましたよ、今月のノ◯ノ。表紙があの元アイドルなんで、こっちに増量されて置かれてたんですね」


この声に呼び戻され、私はまた私になる


「そうなの?」


ちゃんと何を目的としていたのか思い出す


「えぇ、私もすぐ見つけられませんでしたよ。置き場所、発売日に急に変えるとか反則ですよね〜」


友梨奈の言っているのが本当かはわからないけど、少しでも私の心が軽くなるようにに言ってくれてるんだろうな


「確かに今月はちょっと分厚い気がする」

「この表紙の元アイドルの渡◯◯佐がプロデュースした付録がそれなりの大きさだからかもしれませんね」

「確かにそれなりの大きさだよね笑、どんな付録つけたんだろ」


「帰ってから開けるの楽しみですね!」

「うん、楽しみ!」


「理佐さん、私も買いたい漫画あるんで、一緒に会計しちゃっていいですか?ポイント私につけたいから笑」

「いいよ、じゃぁ一緒にお願い」


「やったぁ、これでまたポイント貯まる」


(友梨奈…本当は私がお金を出す時にまごつくから代わりに支払いしてくれるんだよね。ありがとう)


さり気ない優しさをくれる度に、私の心は友梨奈に惹かれていく


もっと友梨奈といたい

もっとたくさんの思い出を作りたい

そんな気持ちであふれていく


会計を済ませてお店を出ようとした時


「理佐、理佐じゃない?」


正面から来た人に声をかけられる

誰…だっけ…この人…

顔がモヤがかかったようで思い出せない

声も金属が混じったような音にしか聴こえない


ただ、ただ心臓が早鐘を打つ

私の心が、頭がアイタクナカッタ、アイタクナカッタ、アイタクナカッタと繰り返す


この人は…

ダメだ名前が出てこない…

でも今1番会いたくない人なのは確かだ