早朝4時30分


トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル

早すぎただろうか?


トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル

まだ夢の中か…


10分後…早朝4時40分


トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル

まだ早すぎたか?


トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル

さすがに夜中より眠りが深いみたいだ


さらに10分後…早朝4時50分


トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル


「もしもし」

「おはよう、理佐」


「おはよう、今何時」

「5時前」


「早くない?」

「早いと思う」


理佐の朝は夜中より機嫌が悪くなるらしい


「どうしたの?」

「眠れなかった」


「えっ?」

「眠れなかったんだ」


「大丈夫?」

「大丈ばない」


「なんで寝れなかったの?」

「離れてると寂しいからかも」


私は週末、実家に泊まりに来ている

例え自分の長年過ごした部屋、ベットであったとしても、隣に愛しい人がいないと眠れない体質になってしまったようだ


「ずっと起きてたの?」

「うん」


ちょっとだけ機嫌が直ったようだ

良かった


「何してたの?」

「ゲームしようと思ってたけど、集中出来なくてやめた。アルバム作ってた」


「アルバム?」

「うん、これまで2人で撮ってきた写メをまとめてアルバム作ってみた」


「それ、見たい」

「見せるの恥ずかしいんだけど…」


「どうして?」

「理佐みたいに上手には作れてないから」


「アルバムに上手下手なんかないよ?」

「そうだけど…」


「私の写メや写真使ってるなら私にも見る権利あるよね?」


せっかく戻ったご機嫌をまた損ね兼ねない


「じゃぁ、帰ったら一緒に見よう」


「うん!」

「ねぇ、理佐」


「うん?」

「チュッ」


電話越しにもわかるように大きめにリップ音を立てる


「チュッ」


ちょっとだけ控えめなのが返ってくる

それが理佐らしくてキュンとなる


「理佐、もう1回だけ…チュッ」

「チュッ…もう恥ずかしいよ…それに…」


「それに?」

「友梨奈が欲しくなっちゃうからもうダメだからね」


「もっとしたかったのに…」

「それなら帰ってきたら…ね」


「約束だよ」

「うん、約束」


「理佐、もう少し寝る?」

「うん、まだ眠い」


「私も理佐の声を聞いたら眠くなってきた」

「私と話してるのつまらなくなった?」


「違うよ、理佐の声は安心するから、気持ちが安心して眠くなった」

「それなら良かった。眠れそうなら、一緒に寝よう」


「うん、寝よう、おやすみ理佐」

「おやすみ友梨奈」


「理佐…もう1回だけ…チュッ」

「もう…あと1回だけだよチュッ」


「おやすみ」

「おやすみ」


理佐の声は本当に心地良くて安心する

理佐の声で安心して、癒されて、眠れる


早く会いたい…

夜までにはやっぱり帰ろう




おわり