「うん、アイス代しかもってないからそうする」
一緒に服とか見たりしたかったな…
でも…今さらそんな事言えるわけないし…
「あのさ、もうちょっとだけ付き合ってもらっても大丈夫?」
「う、うん、大丈夫だよ」
「じゃぁ、3階の服売り場に一緒に行ってもらってもいい?その後、アイス買うの付き合うから」
「いいよ」
「やったぁー、じゃぁ、3階に行こう」
「うん」
そんなに嬉しそうにされたら、照れてしまう…
理佐ちゃんはまだお兄ちゃんが好きなのかな…それとも私を…
そんな事あるわけないか…
私には好かれる要素なんかないし…
でも今は理佐ちゃんとの時間を楽しもう
せっかく2人きりでいられてるから
「てちは綺麗な格好の人と、可愛い格好の人とどっちが好き」
「自分が着るって意味で?」
「どっちの格好をしている人を見るのが好き?」
「私は…綺麗な格好の人が好きかな?憧れるし」
「了解」
「ん?」
「気にしない、気にしない、ほらついたよ」
「う…うん」
理佐ちゃんは何を考えるのか良くわからない…
でも、一緒にいれる事が楽しくて、嬉しいのは間違いない
一通り、服を見て、理佐ちゃんは試着して、最終的にはこれがいいなって私が言った服を買っていた
「理佐ちゃん、私が決めた服で良かったの?」
「てちが決めた服を着たかったから」
「なんで…?理佐ちゃんが選んだ服のが綺麗だったのに」
「そう?私にはてちが選んでくれた服の方が着心地も見た目もしっくりきたよ、だからてちの選んでくれた服に決めたの」
そう言って理佐ちゃんは満足そうに笑っている
そりぁ、好きな人が自分が選んだ服を着てくれるのは嬉しいけど…
好きな人の好きな人がわかるから、なんか心から喜べない…
服も決まったし、アイスを買いに行こうと理佐ちゃんに言われ、下りエスカレーターに向かう
その途中、1枚のポスターが目に入る
「花火大会…
「てち?何か言った?」
「花火大会があるの?」
「あっ、これね、近くの河原で花火大会やるんだよ。屋台とかいっぱい出て、人もたくさん見にくるから、結構、大きな花火大会かな」
「そうなんだ」
「一緒に見に行こうか?」
「連れてってくれるの?」
「うん!私も誰かと見に行く約束してないから、てち、私と見に行こう!」
「やったぁー!楽しみにだなぁ」
「私も楽しみになった!」
どんな屋台があるかとか、どこが穴場で見えるスポットかを2人で話しながら、アイスを選ぶ
「これと、これと、これにしよう」
「こっちのやつは?」
「これはお兄ちゃんに、今朝、私のアイスを勝手に食べられちゃって、お母さんにお兄ちゃんの分もって言われたから」
「てち兄はこういうアイスが好きなんだ」
「どうだろ?私が食べたことないアイスを選んだから」
「これもオススメだよ」
そう言って、理佐ちゃんがアイスを1個カゴに入れる
そのオススメは私に?お兄ちゃんに?
それを聞く勇気が私にはなかった