「わからないよ」
伝わらないかぁ…
こんな無表情、無テンションじゃ伝わらないのも当然か
ならば、正直に言うしかないでしょ
「好きだから気になるんです。私は渡邉先輩が好きだから。好きな人のことはなんだって気になるのが普通じゃないですか?」
おっと、目がまん丸になった
だよね、驚くと目は見開いて丸くなるよね
「好きって言われても…」
「私に好かれるの迷惑ですか?」
困った感じはあるけど、嫌そうではない
となると…やっぱり…まだ…彼女の心には…
「迷惑とかじゃなくて、平手さんの好きはどんな好きなの?」
「生涯を捧げたいくらい好きです」
私の揺るぎない想いを真っ直ぐ伝える
一生とはまた違う、生涯、一緒にいたい
私の生涯をかけて愛したいそう思った
「生涯って私と結婚したいってこと?」
「しましょう」
してくださいなんて希望的な感情じゃなく決定事項でありたい
だからこその、しましょうなんだ
あっ…またあの表情…
過去を思い出してる…
そんな悲しい顔しか出来ない思い出なんて…そんな顔、させたくない
私が、私の愛でその悲しい思い出すら全てこんな事もあったねって、笑える思い出に塗り変えてあげる
「しましょうって私達まだお互いのことをよく知らないよね?」
「お互いを知ってから、はそんなに重要で必要ですか?」
私と理佐さんの出会いは理屈じゃない
運命の赤い糸で結ばれてるなら、後から知っても必ず上手くやれる
お互いを知らなくても、互いに強く惹かれあっていける
「どんな相手かとかは必要でしょ?価値観や考え方とか」
「好きって強い気持ちが互いにあれば価値観の違いなんか解決していけます」
理佐さんは私の1言、1言で過去を思い出しては元恋人との思い出に重ねて、自分で自分を追い詰めているように見える
どんなに辛い思い出だとしても、私は、私といたらそんな思いはさせないってわかってもらいたい
「好きって気持ち互いにあれば…ね、そんな簡単なものじゃないと思うけど?」
「他の人達は知りません。でも私達なら大丈夫です!だから渡邉先輩、私と幸せになりましょう!」
簡単じゃなくても私達なら大丈夫だと思わせたい
どんな別れ方をしたのかわからないけど、元恋人との別れと思い出が、彼女の心の中の奥底に碇のようになって沈んでいる
手足も重い、重い鎖で縛られてる…
私にならそれをとっぱらえる
私だから出来る
平手なら変えてくれるかもって、理佐さんが思えるように、私は全身全霊で彼女に愛を伝えて、重い、重い過去の底なし沼から彼女を救い出す
それは私にしか出来ない
私の愛なら出来るって自信がある