理佐さんに連れてこられた場所は2人には広すぎる会議室だった
他の場所は先にもう使用されていて大きな会議室しか空いてなかったんだろうな
2人で向かい合い座る
目の前にずっと、ずっと待ち望んだ人がいるのに、嬉しいはずなのに…
さっきの聞こえた一言が私の心の中で広がって、他の事が考えられなくなっている
私は今、どんな表情で愛しい人を見ているのだろう?
そんな事を思っていると
「改めて、平手さん、待たせてごめんね」
心から申し訳なさそうに理佐さんが言った
「大丈夫です」
さっきの一言がなければ満面の笑顔で答えていたかもしれない
でもトゲのように私の胸に刺さってしまい
はっきりするまでは抜けそうにない
きっと私の顔や態度から表情や表現は消え去ってしまってるはず
こうなると私は気がかりな事をそのままスルーするのは無理な性分で
話してはもらえないのは承知の上で、回りくどくでも、遠回しでもなく、ストレートすぎるくらいストレートに聞く
「渡邉先輩は病気なんですか?」
私の問いに、唖然とした様な顔
あれだけのやり取りを見せといて、聞こえなかったでしょ?
なんの話か分からないでしょ?
みたいに都合よくされては困る
「えっ?」
返してきた返事と比例するように、理佐さんの表情はかなり強張っている
「由依さんが再発したの?って先輩に聞いていたのが聞こえたので」
「そう…えっ?…ちょっ、ちょっと待って、由依さん?小林先輩じゃなくて、由依さん?平手さん由依と親しいの?」
まずそこ?
そこが気になった?
なんで病気のこと…とかじゃなくて
由依さんって呼んだのそんなインパクト強かったかな?
だめだ…めっちゃツボる
由依さんと親しいとこが気になるってなんか読めなくていい
そういうのにまた魅かれてく
だめだ、好きとなんか可愛いが溢れそうでヘラヘラしてしまいそう
気を引き締めなきゃ
「聞いてませんか?私、由依さんの中学の後輩なんです」
「由依が中学の後輩が入社したとは聞いてたけど、平手さんだとは思わなかった」
どんな人を想像してたの?
ねぇ、どんな人をイメージしてたの?
突っ込みたい…
でも今は突っ込んでいい場面じゃない
耐えろ、友梨奈
耐えるんだ、友梨奈
きっと無の私と由依さんが一緒なのを想像したんだろう
そうに違いない
だから私と由依さんが仲良しってつながらなかったんだね
目の前の愛しい人を知れる度に、この人となら、そんな想いを強く感じる
もっと知りたい、どんな理佐さんも
そしてどんな私も知ってほしい、こんなにもそう思えたのは理佐さんが初めて
やっぱり私達は運命の赤い糸で結ばれているかもしれない…
いや、絶対に結ばれている