「私をたくさん知れば理解出来るの?」
「理解出来るかはわかりません。でも好きであればあるほど知りたくなりませんか?その人のことを、出来る限り理解したいと思いませんか?」
「知って傷つくこともあるでしょ?」
「それはお互い様です。私だって知られたら渡邉先輩を傷つけてしまうことがあるかもしれない。でもお互い何に傷ついたかをちゃんと共有したいです」
「共有?」
「共有しないと、誤解や勘違いが生まれてしまう気がするんです」
「誤解や勘違い…か…」
私も彼女に聞きたい事がたくさんあった
私の事も色々聞いてほしかった
でもお互いに思う事は違って、そこからズレてすれ違って、ケンカになって…
「誤解や勘違いしない為に、知りたかったら聞いて、お互い納得する。誰かから知るよりも本人から聞いて、一緒に分かち合って幸せになりたい。私はそう思います」
平手さんは真っ直ぐすぎるくらい真っ直ぐで、揺るぎがない
その真っ直ぐさがきっと由依が言ってたことにつながる
それに私も平手さんの考え方がわかる気がする…
平手さんは私が求めてきた何かをくれるだろうか…
「一緒に分かち合って幸せになりたいのは…」
「あの人じゃなくこの平手友梨奈です」
「なに、その選挙運動みたいな言い方」
「平手友梨奈を選べば間違いありません」
頭の中で、胸の奥で信じてみたいって声がこだましていく
「本当に信じられるの?」
「もちろん。私を信じて良かったって保証しますから」
少しはにかんだ平手さんは眩しく見えた
平手さんってこんなにキラキラした子だったんだ
「ただ、私は突然、あなたを忘れてしまうかもしれない、それでもいいの?」
「そうなれば何度だって私を好きにさせます。私を忘れてその度に初めましてになっても私を好きにさせます」
何を言っても私の方が負かされてしまう
そこまで言うなら信じたい、信じてみようかな?…
でもまただめになったら…
簡単に信じたら…また…ダメになって…
失って…それは怖い…やっぱり無理…
「私は無意識にたくさん酷い事や、キズつけたりするようなことを言っちゃうから、誰かと幸せになる資格がないの」
「それは病気のせいでしょ?それならその度に聞き流します。酷くなるようなら、治療を一緒に頑張るし、とことんケンカになるならケンカしてあげますよ」
私には資格も価値もないのに…
なぜそこまで真っ直ぐに…真っ直ぐに…
何を言っても前向きに返してきてくれるんだろうか?
「聞いてもいいかな?」
「どうぞ」
「私のどこを好きになったの?」
「初めて見た日に、この人しかないないって思ったから」
「一目惚れしたってこと?」
「後ろ姿だったから、一目惚れとはちょっと違う気が…とにかく、姿を一目見た時にこの人が私の生涯の相手だって思ったのは確かです」