その日を境に週末はコインランドリーで理佐さんと会うようになった


理佐さんは社会人で、私よりも少し年上

私が通う大学の近くに就職したらしい


「友梨奈さん」 

「理佐さんのが年上だから友梨奈でいいよ」 


「急に呼び捨てとか恥ずかしい…」 

「そう?」 


「じゃぁ、ゆ、ゆ、友梨奈も理佐って呼んで?」 

「私は年下だから、理佐さんだよ」 


「そんなぁ〜ズルいよ〜、理佐って呼んで、これ、先輩命令だから」 

「なんの先輩?」 


「人生?しかないよね?」 

「アハハ、なにそれ、面白いね理佐」


さり気なく理佐を呼び捨てにする 

誰かを呼び捨てにして、こんなにドキドキするなんて初めてだ 


「もう1回」 

「うん?はっきり聞こえなかった」 


「もう1回、理佐って呼んで」 


そう言う理佐を見ると、理佐は顔を真っ赤にしている 

私もなぜかつられて赤くなってしまう 


「なんで顔を赤らめてるの」 

「ンフフ、嬉しいからだよ」 


嬉しいって言われて嬉しい私がいる 


「嬉しい?」 

「友梨奈に名前を呼んで貰うと、なんかすごく嬉しい気持ちになるなぁって」 


そう話す彼女の笑った顔にまた胸がざわつきだす


「急に嬉しいとか言われたら恥ずかしいよ」 

「友梨奈が恥ずかしがるから私も恥ずかしくなっちゃった」 


多分、私は理佐以上に顔が真っ赤になってるはず 


ただお互いの名前を呼び合っただけなのに、こんなに胸が熱くなるなんて知らなかった 

もっと理佐と一緒にいたい

もっと話したい

そんな気持ちが湧き上がってくる


「ねぇ、理佐」

「なぁに友梨奈」


「休みの日、どこかに一緒に行かない?」

「うん、行きたい」


「じゃぁ、次の休みの日、一緒に出かけよう!」

「うん!楽しみだなぁ」