確かに私は失恋した。

自分でいっぱい、いっぱいになってて周りを見ようとすらしてなかった。

少なからずそばで物音とかしてたかもしれないのに…。

自分だけが可哀想になって泣いてばかり…。

誰かに見られたり、聞かれたりしてるなんて考えもしなかった。


すぐそばで私を見てくれてる人がいるなんて思いもよらなかった。


「誰だって立入禁止教室に誰かいるなんて思わないよ。それに誰も入ってこなかったし。私はただ部活をやってるあの人を見るだけの為にいただけ」


「その割には休み時間も昼休みも、暇さえあればここに来て、荷物やらも置いて、もう自分の部屋化しちゃってるし」

「だって、あの人と同じ教室にいるのが辛かったから…気まずかったし、他に行く場所も無かったから仕方ないじゃない」


元恋人はクラスメイト。

私を振ってすぐ他の子に乗り換えた。

見せつけるように目の前でイチャイチャしている姿を見たくなかった。

自分がいた場所に他の違う誰かがいるのを見るのが耐えられなかった。

思い出すとまた涙が溢れてくる。


「さすがにさ、もう泣くのに疲れない?私がそんな相手忘れさせてあげるよ」


そう言った友梨奈は私の腕を掴み抱き寄せ私をギュっと抱きしめてきた。 


「もう、泣いてる顔も背中も見たくない。笑顔の理佐先輩を見てみたいな」 

「笑顔の私?」 


「笑顔だけじゃない。色んな先輩を見ていきたい。知っていきたい。だからあんな垂らしな元恋人、私が忘れさせてあげるよ」 


友梨奈の声も腕の中も暖かくて心地よさがある。

この子といたらまた私は笑えるようになるのかな?