どうして本屋に来ていたのか

友梨奈の手が震えていたのか

それすらも忘れかかっている


本屋からの帰り道、友梨奈は全く何も話さなかった


ただずっと手が震えていたのと

無表情、無テンション


私が怒らせてしまったのかもしれない…

言われてもすぐ忘れてしまうから…

その度に何度も何度も同じ事を友梨奈は教えてくれていたけど、あまりにも私の覚えが悪いから何度も同じ事を言うのが嫌になったんだ…


こんな私が優しい友梨奈の隣にいる価値があるのかな…

そもそも私に生きる価値すらあるのかな…


誰かが私といると不幸になるって、不運しか続かないってそんな言葉を思い出す

私に振り回されてみんな離れて行ったよって言葉を思い出す


そうだよね…

私がいると周りが大変だよね…

病気の事も理解してくれない人の方が多いし…


あの人も私の感情の起伏を病気だとしても許せないと去って行ってしまった…

誰も理解なんかしてくれない…

あの人ですら理解してくれずに、私を恨み、憎み、離れていったのだから…


私が消えたほうが平和になるんだ…

みんな私から解放されるし…


私は消えてしまいたい…

このままいなくなりたい…


歩きながら急にズキズキと頭が痛みだす

歩くのも無理なくらい激しく痛む

痛みが激しくなると記憶が混濁するからこの頭痛は嫌な頭痛なのに…


頭の中で色んな事がグルグルしてわからなくなっていく…


あの人に会いたい…私から離れないで…

本気で傷つけたかったわけじゃない…

感情が言う事をきかなかっただけ…

あなたを失いたくなかった…

戻ってきて欲しかったのに…

私を突き離さないで…

私だって病気になりたくなかった…

こんな病気になりたくなかった…

あなたと幸せになりたかったのに…


痛い、痛い、痛い…

頭が割れそうなくらい痛い…


「理佐?どうした大丈夫?」


誰かが心配してくれる声、優しい声だなぁ


「うっ…頭が痛い…」


「理佐、理佐?頭、痛い?病院行く?」

「すごく…い…痛い…割れそう…」


「理佐…理佐?、今、すぐ病院に向うから…待って」


私に誰か声をかけてくれている

だけど私の知らない声…誰なの?


痛みに耐えるのに瞑っていた目を開けると

目の前に誰かいる…

ん?…誰?…この人誰?…

知らない人がいる…


「理佐、大丈夫?痛み落ち着いてきた?」


なんで私を知っているの?

私はあなたを知らない


「あなた、誰?誰なの?」

「えっ…、理佐?」


「私はあなたなんか知らない!私を馴れ馴れしく呼ばないで!私から離れて!触らないで!」

「理佐?」


「あの人を呼んで!あんたなんか知らない!私はあの人に会いたいの!」