ふぁぁぁ

目が覚めて時計を見ると、朝の4時


早く目が覚めちゃったな

トイレに入り、もう一度布団に入る

目を閉じてみるけど、目がさえてしまい眠れない


しゃーない起きるか…

テレビを付けてみる

特に見たいと思えるものもやっていない


さぁ、どうしたもんか…

考えながらふと思い出す


「朝、目が覚めて友梨奈が目の前にいたら幸せだよね」


そんな恋人の理佐の言葉を思い出す

サプライズしてみようかな…

身支度を整え部屋を出る


まだ外は真っ暗だ

冷え込んでいるけどなんか気持ちいい


理佐の家まで歩いて1時間くらいか?

なら歩いて行くのもいいな


吐く息もまだ白い寒い朝

愛しい人の家に向かって歩き出す


突然、私がいたら理佐はどんな顔するかな?

楽しみだなぁ

理佐の色んな顔を想像して歩く


冬の朝はなかなか明るくならない

真っ暗で自分の影さえ見えない


時々、この道で良かったんだっけ?と迷いそうになりながら歩いていく


たまに早足になったり、ゆっくりになったりしながら


あともう少しで理佐の家だ

楽しみな気持ちと、なぜかちょっとした緊張とが入り混じった感情になる


家を出た時よりも冷え込みが強くなった

寒いなぁ

でも心はホクホクと暖かくなっている


あっ!理佐の家が見えて来た

ゆっくりだった歩き方が早足に変わる


だめだ、息を切らして部屋に入ったらバレてしまう

呼吸を整えながら、早る気持ちを落ち着かせる

よし、大丈夫!


渡されている合鍵を使い、ゆっくりとカギを開ける

カチッ


起きちゃってませんように

祈りながらさらに慎重に玄関のドアを開け、ゆっくり入る


神経を集中させてドアを閉める

次はカギを閉めて

カチッ


シーン…


起きてないな、うん、起きてないはず


抜き足差し足忍び足で理佐の寝ている寝室に向かう


ふぅ〜、最後の難関

寝室のドア…


ゆっくり、ゆっくり、開けていく

小さく開いた隙間から中を覗き見る


よし、寝てるな

さらに神経を集中させ、慎重さも忘れずにゆっくり開けていく


よし!開いた

バレないように、目を覚まさせないようにドアを閉める


すっごく疲れる…でも寝起きサプライズまであと少しだ


また抜き足差し足忍び足で理佐に近づいていく

普段の倍以上の時間をかけて理佐までたどり着いた


良かった〜良く寝てる

理佐の寝顔を見て満たされた気持ちになる


寝顔も綺麗だし、可愛いなぁ〜

理佐の寝顔を見ているうちに段々と眠気に襲われる


理佐が起きるまであと少し…

頑張れ私!


しかし…いつの間にか眠ってしまった…


「キャー!!」


理佐の叫び声で私も飛び起きる


「えっ…何!?何!?」


叫び声に私はオロオロとしてしまう…


「友梨奈?」

「うん」


「なんでいるの?」

「寝起きサプライズ?」


「強盗かなんかだと思ってすっごいびっくりした!」

「ごめん…、起きて待ってようかと思ったけど…寝落ちちゃったみたい」


「そんな満面の笑みで言われても…もう、怒る気無くなった」

「朝から私の笑顔もいいもんでしょ?」


「本当に本当にびっくりしたんだから」

「うん、ごめん…どうしても会いたくなったから」


私は理佐を抱きしめる


「次からはちゃんと夜から来てよ、それで朝まで一緒にいてね」

「すぅ〜、すぅ〜、すぅ〜」


「友梨奈?って寝てるしっ」


私はそのまま理佐にベッドへ連れていかれ目が覚めたら、隣に理佐が…

あれ?


「やっと目が覚めた笑」

「理佐」


「早起きしちゃったから眠くなっちゃったんだね、すっごい良く眠ってたよ」

「理佐がベッドに?」


「うん。私も一緒に寝ちゃったけど、目が覚めたのは私が先だったから、しばらく寝顔見てた」

「見なくていいよ…恥ずかしい」


「友梨奈、最高のサプライズありがとう」

「成功したにはならないと思うけど…」


「とても嬉しい寝言が聞けたから」

「えっ…!?どんな寝言?」


「ヒ・ミ・ツ」

「そんな〜教えてよ〜」


「ダ〜メ」

「ゔぅぅ…なんて言ってたの〜?」


「私にとって幸せになれる寝言」


サプライズは成功したかわからないけど、理佐の嬉しそうな笑顔を見れたから、それで良しとしよう!



終わり