乙女の絵画案内⑦ | おじさんの気ままなブログ

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更新されました
和田彩花の「乙女の絵画案内」
http://shuchi.php.co.jp/article/1644



今回は
【第7回】 アングル『泉』
http://shuchi.php.co.jp/article/1734


画家の名前は覚えていなくても
この絵は有名だと思います

一部転載

陶器のような美しさ

 絵画の歴史のうえで、裸体画はひとつの大きなジャンルを築いています。
たとえばルノワール(第4回)などが有名ですね。

 今回取り上げる、アングルの『泉』(オルセー美術館蔵)もそのひとつです。
まるで陶器のような美しい肌が印象的。
人間がモデルじゃないみたいに見えます。

 ルノワールの裸体画とは、ぜんぜん違いますよね。
私には、ルノワールが描く女性のほうが生き生きと感じられます。
それが絵画のおもしろいところ。
印象派らしいザザッとしたタッチで描かれているルノワールの絵のほうがリアルで、写真のように描かれているアングルの絵のほうが、生きている人間のように思えない。

 絵画を観るとき、私たちの脳はどんなはたらきをしているんでしょうか。
目から入ってきたいろんな情報は、頭のなかにある不思議な変換装置をとおって、感情まで届くんじゃないかな。
観たものを、そのままには感じない。両者の絵を比べてみると、そう思えてきます。

中略


「上手い」って何だ?

中略

 アングルの絵の最大の特徴といえば、やはり圧倒的な「上手さ」です。

 その上手さを武器に、アングルは常識を乗り越えて、一歩間違えば問題作になるかもしれない名作を描いたのではないかと思えてきます。
『グランド・オダリスク』(ルーヴル美術館蔵、左図)なんて、いま観ても刺激的な感じです。

 絵の上手さにもいろいろあります。
観たとたんに、「きれいだな、上手いな」と感じる絵ばかりではありません。

 画家が考えて考えて、試行錯誤もいっぱいして、苦労してできた絵――観るほうにそうしたいろんな知識があるからこその「上手い!」という絵もあります。

 先ほどいったように、私たちの脳は目に入ってきた情報をいろいろな回路で分析して、評価します。その回路があってこそ、上手いと思うこともあるのでしょう。

 でも、アングルの絵は、だれが観ても「上手い!」と思うはず。
それは、アングルのことを知っていてもいなくても、変わらないと思います。そういう意味では、『泉』が新古典主義の傑作といわれるのも当然といえるのかもしれませんね。

 完成したときから、すでにクラシックな作品なのです。

中略

 「上手い」って不思議な言葉だと思います。

 スマイレージでも、新しいメンバーが入ってきて、たとえばダンスが明らかに私よりできていなくても「上手い」と思うことがあります。

 それは、何もできなかったころを知っているとか、成長する姿を見てきているからでしょう。

 努力や一所懸命さが、「上手い」と感じさせることもあるんだなぁと、新しい発見をした思いです。


理想の女性を求めて

中略

 壺から流れる水のおかげか、足元には花が咲いています。
でも、なんだか花に元気がありません。
そのせいでしょうか、アングルにしてはちょっと雑な印象さえ受けます。

 女性を描くことに、力を使い果たしてしまったのでしょうか。
それとも、花よりも女性の完璧な美しさを描きたかったのか。
アングルにその意図を聞いてみたいです。

 『泉』と並んで有名な『グランド・オダリスク』も、陶器のような女性が裸で横たわっていますが、その美しさにうっとりします。

中略

 今回、私はアングルが描く「色」のすばらしさにも、あらためて感動しました。
写真のように、豊かな色彩を鮮やかに写し取れるんだ、ということに気づいたからです。

 またひとつ、アングルが理解できるようになった気がします。

 絵画は、観るたびに異なる魅力に気づくことができるのがとても楽しい。
何回観ても、新鮮な気持ちで絵を観ることができます。

 アングルの絵を、まだ一度も実際に観ていないことがとても残念。

 本物を観ることができたら、どんな気持ちになるのかな。
絵を前にした自分のことを考えるだけで、わくわくしてきます。


激動の絵画史

 アングルの晩年は、印象派の父であるマネが『草上の昼食』(オルセー美術館蔵)を発表した、印象派前夜の時期と重なります。
西洋絵画がそれまでと大きく異なる方向に舵を切っていく時代に、アングルという西洋画のイメージを体現したような画家が登場した、というのがドラマチックですよね。

 アングルは82歳のときに、代表作のひとつ『トルコ風呂』(ルーヴル美術館蔵、左図)を描くなど、生涯にわたって精力的な活動を続けました。

 新しい美術の潮流が見えてきたからこそ、アングルは最後まで絵筆を離さずに描きつづけたのかもしれません。

 そんな激動の絵画史を、いまこうして感じながら絵を鑑賞できることは、とても感動的なことです。

 自分が美術史を専門的に学ぶようになるなんて、絵画に目覚めたころは思いもしませんでした。
あのころはただ、絵を観ることが楽しくて、それで十分だったのです。

 でも、1つひとつの絵が描かれた歴史や背景も研究していくと、絵画鑑賞という海は私のなかでどんどん広く、より楽しいものになっています。

 美術史という学問が存在する背景には、私のような素朴な探究心もあるのではないでしょうか。

ここまで転載

【第6回】 レンブラント『夜警』
http://shuchi.php.co.jp/article/1713


【第5回】 薬師寺『麻布著色吉祥天像』
http://shuchi.php.co.jp/article/1695
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【第4回】 ルノワール『陽光の中の裸婦』
http://shuchi.php.co.jp/article/1660
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【第3回】 モネ『舟遊び』
http://shuchi.php.co.jp/article/1658
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【第2回】 マネ『鉄道』
http://shuchi.php.co.jp/article/1640
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【第1回】 フェルメール『手紙を書く女』
http://shuchi.php.co.jp/article/1615
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