カムフロムアウェイ創作過程解説イベントに参加しました。(3/26)


需要があるか分かりませんが、沢山のお話を聞くことが出来たのでシェアしたいと思います。

かなり長いうえ、上手く伝わるか分からない文章で申し訳ないです。誤字脱字等あったらすみません。


・作品との出会いと印象

・キャスティング

・レプリカ

・海外と日本

・Q&A   の順で書いています。


お話は15分の予定でしたが、最終的には20~30分くらい話してくださったと思います。

解説してくださったのはプロデューサーの井川さんです。


・作品との出会いと印象

なんとなく、まだどこも上演権を取っていないことを確認。

2018年にブロードウェイで観劇。(チケットがなかなか取れず、ようやく取れた1階後方の端の席。)

前知識として知っていたのは、9.11に関係するということだけ。

カーテンコールで思わず立ち上がってしまうという体験をした。

ほとんど音楽が途切れないミュージカルなのに、どこかストプレを観た感覚。

まだみた事のない新しいミュージカルだと思った。

ぜひ、日本のお客様にもこの作品を観ていただきたい!と思い権利交渉を始めた。


(日本で上演するまで、コロナ禍の話し合いも含めて約4年ほどかかったそうです。)



・キャスティング

海外作品を上演するにあたってのキャスティング方法は様々。(今回お話されていたのは3種類)

①日本側がキャスティングした役者を、海外プロダクションの方にオーディションしてもらうパターン。

②日本側がキャスティングした役者のバイオグラフィー(過去の出演作や歌唱映像,その他の情報など)を作成し、海外プロダクションの方に提出するパターン。

③日本キャストのことは日本側がよく知っているので、ある程度の役者の情報は伝えるがほとんど任せてくれるパターン。

今回のカムフロムアウェイは、③のキャスティング方式。

オールオファーかつ、皆さんファーストオファー。

最近は若いキャストの方々がメインの作品が増えてきたけれど、今回は1番若いキャスト(咲妃みゆさん)でも30代。日本でそれぞれ主役を張ることが出来る、実力ある皆さんに演じていただけることを光栄に思う。

(井川さんが今まで一緒に作品を制作したり、どこかでお会いして話をしてきた中でその人の本質的な部分や印象、演じてきた役を踏まえてキャスティング。ただ、ここまで来ると1ミュージカルファンとしてこの役はこの人がいいのではないかと考えることもある。基本的に、この組み合わせだと良い化学反応が生まれるのではないかという直感に頼ることが多い。やっていくうちに、キャラクターとの相性がバチッとハマる感覚がある。)



・レプリカ

この作品をブロードウェイで観た時から、絶対にレプリカでやろうと思った。それくらい作品が出来上がっていたのでこれ以上のものを作り上げていくのは困難だと思った。

ホリプロではビリー・エリオット,メリーポピンズなどがレプリカ。

シンプルなセットで木も6本くらいだと思っていたので、これはやりやすいぞと思っていた。

(おそらく、経済面でだと思います。)

が、蓋を開けてみると木は26本。しかも、そのうちの約半数には照明が埋め込まれていたり、ついていたりする。想像以上にお金がかかることがわかった。

基本的にレプリカというとセットや照明機材を海外の方が作ったり取り寄せたりする。しかし、カムフロムアウェイは木の皮のみを海外で作り、その他のセットは日本で作った。結果、費用削減ができ、何とか興行収入が成り立つところまで来た。

(木の皮は日本で作ることが出来ないので、海外の木の皮を専門に作っているお店に作ってもらった。船で約2ヶ月かけて運ばれてきた。お金がかかった。木の皮は、実は6種類ある。

また美術については、日本では床も1からということは珍しい。後ろの壁もただ、床と平行に作られているのではなく、それぞれ微妙に角度が異なっていて照明の当たり具合など細かく考えられて作られている。とおっしゃっていました。)



・海外と日本

海外では、1年目で利益が出ることはほとんどないため、ロングランをして利益を出している。

しかし、日本では約1ヶ月,長くて3~4ヶ月の公演がほとんどのため、興行を成り立たせるのが大変。

また、海外では劇場での仕込み~劇場での稽古まで3週間、約1ヶ月かける。

が、それを日本でやると公演が終わってしまう。

既に、日生劇場で上演することも決まっていたため、間に合いませんでしたでは済まないと思っていた。色々な人と話し合い、日本のスタッフさんは優秀な人ばかりなので美術や照明機材に関しては日本で作ったり、日本のもので補ったりする半レプリカを採用した。

結果、劇場での仕込み~初日までは1週間で行うことが出来た。


というようなことをお話されていました。


井川さんによる制作過程の説明がひと通り終わったあと質疑応答の時間がありました。

以下、その内容になります。


Q&A


Q . レプリカで上演するにあたって原曲のキーなどはどうしているのか?


A. 海外の作品では、一部ならキーを変えても良いと許可が下りる作品と全く変えてはいけない作品がある。全く変えてはいけないものに関しては、そのキーが歌える人でないとキャスティングできない。

今回は、M11のMe And The Skyのキーが半音違う。こちらの方が、濱田さんにあっている、と変更された音源が送らてきた。



Q.井川さんが、この作品を日本で上演しようと思った1番の理由は?


A.様々な要素が合わさって決めた。

1番と言うと難しいが、とにかくあたたかい物語であること、作品が持つエネルギーが凄まじいと思ったから。正直、最近見たミュージカルの中で1番心を動かされた。

ミュージカルは音楽がかなり重要。

1度観ただけでも音が耳に残り、口ずさめたことも決め手のひとつ。



Q.オリジナル作品を作る際の基準的なものはあるのか?


A.基本的には、原作(本など)を読んでいて、これをミュージカルにしたい!と思うことが始まり。そこから、脚本家や作曲家,演出家の方に依頼する。キャスティングと同じように、この組み合わせなら良い化学反応が起こりそうという直感で判断することが多い。ベストな作品にするためにも、様々なクリエイターの方の作品を観て、日々勉強している。



Q.翻訳や訳詞で大変なことはなにか?

主に2つある。

1つ目は、現在形と過去形。海外作品だと過去形のことを普通に現在形で話したりするが日本ではそれが難しい。どこを現在形でどこを過去形にするかは毎回悩む。

2つ目は、ノックノックジョークなどの部分。

日本ではあまり馴染みのない言葉や文化の違いなどてピンと来ない部分がある。これが毎回、頭を悩ませる。今回で言うと最後の方にあるジョーク。これは専門の作家さんにどうすれば日本に馴染むか、伝わるかなどを考えてもらいそれを劇中で使っている。



以上が、創作過程解説イベントの内容です。

記憶を頼りに書き起こしたので曖昧な部分もあると思いますが、だいたいこんな感じのニュアンスだったと思います。