妹の結婚式で久々に母と会う

わたしが中学生の頃に

“親”を放棄して出ていった

わたしにとっては母親で無く

産んでくれた人という感じ。




母が出ていった時

幼い妹は子供部屋の

壁かけ時計を外して

反時計回りに時計の針を

指でぐるぐる廻し始めた。

わたしが何してるの?と聞くと

「パパとママが仲良しの時になるようにとけいさんをもどしてるの」

泣きながらぐるぐる廻し続けていた。




結婚式が終わり、

妹にその時計を手渡す

妹は「捨てたと思ってたのに」と驚いていた

あの時に外してからずっと

わたしの机の奥にしまってあった。


暫くして妹の家に遊びに行く

壊れたままの“とけいさん”が

新居の玄関に掛けてあった

「教訓の為にね」

妹は微笑んでいた。
幼児ことばは可愛いとは思う

発音がおかしかったり

間違えて覚えてたり


大きくなっていくうちに

消えていくのだろうけれども



幼い頃わたしは

ヘリコプターを“ヘリコブタ”

カンガルーを“カンガール”

と言ってた

両親はそれを可愛く思い、

ちゃんと言い方を教えなかった

いづれ分かるさ、と


そのおかげで物心ついた頃から

空を飛ぶ“ヘリコブタ”を見て

「どこがブタ?顔?」ドキドキ

“カンガール”を見るたびに

ボクシンググローブを顎に当て

難しい顔で何やら考え込む

カンガルーが頭に浮かんでいた



今でも時々、言い方を

迷いはじめる時がある。