今日もまた、太陽が昇る。
島の朝は早い。
この島で郵便配達をしている潤一は、
今日もまた三味線の音で目が覚めた。
隣の村下町長の家からだ。
彼は毎朝7時になると、
決まって三味線を演奏する。
この島に来て4年、
毎日その音色で起きている。
初めは迷惑だったが、
今はその音色が目覚まし時計代わりだ。
朝、その音色を聞くと、
心がスッキリする。
海風を体で感じながら、
今日も配達に出発した。
海岸の小道を自転車で走りながら、
浜辺で遊ぶ少年達に声をかけた。
「おはよー」
「おはよー、おじちゃん。」
少年達は応えた。
まだ24歳なのに、おじちゃんっと呼ばれている。
それからちょっと進んだ時、
携帯が鳴った。
「もしもし、神田潤一ですが。」
「あぁ潤一おはよう、お母さんよ。」
「うん、おはよう。で、どうしたの?」
「それがね・・・」
埼玉に住む母親からの電話だ。
神妙な声だった。
体から血を引いた気がした。