63 戦車道全国高校生大会にて。

 

?「またアンツィオ敗退だね。」

 

?「しっかし、毎回まいかいよく出てくるよね(笑)」

 

?「いい加減、ハジ曝(さら)すの止めればいいのにね(笑)」

 

大洗女子学園に負けた帰りに、会場で聞いた会話でした。

 

ドゥーチェにも聞こえていたと思います。

 

ただ、ドゥーチェは何も言わずにその場を通り過ぎようとされました。

 

そのお顔には惨(みじ)めさや卑屈(ひくつ)さはなく、凛とした気高さを纏っておられました。

 

すると、

 

?「何も理解しておられないようですから・・・」

 

?「お教え致します・・・」

 

振り返ると・・・そこには黒森峰女学院の西住まほさんがおられました。

 

まほさん「大火力(だいかりょく)を有した戦車を指揮すれば・・・作戦上の失策をしない限り勝利は得られます。」

 

まほさん「しかし、アンツィオには大火力を有した戦車は1両しか有りません・・・」

 

まほさん「なのに、アンツィオは確実に成績を上げてきています。」

 

まほさん「それが何を意味するか・・・お解(わか)かりになりませんか?」

 

まほさん「今・・・各大学の戦車道部が是が非でも入部させたいのが安斎千代美さんだそうです・・」

 

まほさん「大火力を有(ゆう)した戦車を彼女が指揮する・・・」

 

まほさん「まもなく・・・彼女の本当の実力を見ることが出来るでしょう・・」

 

そう言って、西住まほさんは去って行かれました。

 

?「あ・・・す、すいません!」

 

?「すいませんでした!」

 

2人の方は、そう言ってドゥーチェに頭を下げられました。

 

ドゥーチェ「気にしなくていい。」

 

ドゥーチェ「あなた達の言ったことは間違いではないぞ。」

 

ドゥーチェ「ただ、わたしは戦車道が好きなんだ・・・」

 

ドゥーチェ「アンツィオの仲間が好きなんだ・・・それだけだ。」

 

そう言って、ドゥーチェは微笑まれました。

 

颯爽(さっそう)と立ち去るその姿を、2人の方は見つめておられました。