万年平社員の見た世界 (モラルダウン) | みたこと、聴いたこと、思ったこと等の 独り言。時々ですます調。 ブロックはご自由にどうぞ。

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創価学会は、元々は末法の御本仏日蓮大聖人の在家の信者の団体でした。
平成3年に日蓮正宗から教義逸脱等により破門され、今では 仏教的・平和主義的・人道主義的等の雰囲気を持つ 政治的な営利団体へと変貌しました。
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社内で ロボットとかアンドロイドと呼ばれていた 無味乾燥・無頓着人間・ど偏屈・万年平社員の私に、販売部長から美容課長を経由して OJTの依頼があった時のこと。

営業マンや販売課長からではなく販売部長からというのは珍しいことだった。


「販売2課の美容部員にモラルダウンがおきている。現場に入って原因を調べてほしい。」

とのことだった。


OJTのふりをするってことでしょうか?


なるべく速く、なぜモラルダウンがおきているか原因を探ってほしい。販売2課に応援に入るかたちでも何でも良い。


 承知いたしました。


地下街の化粧品店では、数人の美容部員がツッカケサンダルに ハイソックス ニットのベストなどというびっくりな姿で 「店員化」 している。

彼女たちは 入店すると、すぐに休憩に入り、しかも30分も休憩時間をとり、地下街でオニギリやサンドイッチを買って 私にも食べろという。


 お昼前からまた休憩時間に入り、1時間のお昼休憩。3時前後にまた30分の休憩で、ケーキやエクレアを買って食べている。何かの穴埋めをするかのごとく、とにかく彼女たちは 食べる。


店頭では 店員さんと何やら、ヒソヒソ話をする。


5時前後に、もう一度休憩があり 休憩所でお菓子を食べる。いかにもつまらなさそうでもあり、お互いはけっして仲良くはない。


他の薬局や、大型商業施設のテナントにも入ってみたが、同じようなことがおきていた。


原因はすぐにわかった。


彼女たちは、販売2課の美容主任から 「売り上げ目標」 を与えられていたのである。


本来 美容部員は 販売員ではない。

おおざっぱにいえば、化粧文化のイメージアップが仕事である。社内で、美容部員に売り上げ目標を与えるなど、聞いたこともなかった。


(ただし、同じビルの上の階に 別会社として百貨店課という「別班」があり、少人数ながら 百貨店内でお客様を呼び止め 「お化粧直し」というキャッチセールスをする集団があって、公然と売り上げを競っていたが、同じ制服を着ていても 美容部員ではない 全く別の職業集団だった。)


美容部員には 専門的な美容の知識だけでなく、歩き方・立ち方・話し方などの立ち居振る舞いや 髪の色、パンプスの高さ、ピアスの禁止、あだ名で呼びあわない、制服着用時の立ち話禁止等 色々な決まりもある。そのために教育には随分な時間や 予算がとられていた。



さてさて、販売2課の美容主任青林さん(仮名)は、1ヶ月に1度の全体朝礼のあとに、第二教室で「自分流」の「独自」の朝礼を行い、自分で作った「売り上げ報告書」を美容部員に書かせていた。

売り上げ目標を与え、販売2課の美容部員を競わせ、女帝のように小さな集団に君臨していたのだ。彼女たちは支配され、人としての誇りを見失なっていた。教育に費やした時間もお金も「売り上げ目標」という異物混入によって 泡のように消えてしまった。


さて、どう解決するのか。


部課長会議に呼ばれて、意見を求められた。


そもそも 【目標】とは何だろうか。

戦前、目標という言葉は 目印とか、標的の意味で使われていたという。

ユダヤ系アメリカ人の ピーター・ドラッガーという人が、人種・人格に関係なく 仕事の評価として 結果・成果だけを見て欲しいという一種悲鳴にも似た訴えを提唱し これが MBOの基礎となった。

ちょうど、日本でも 上野一郎氏の翻訳によって目標管理流行の第1波が始まった頃だった。


社内では【目標による自己管理法】と呼んで 営業マンが自分でこしらえた販売目標をもとに、月末締日に 各課長に成果を報告するという形式を採用していたが、同時にタコグラフ添付の日報も義務づけられていて、なかなかに大変だなと感じていた。


意見を求められた部課長会議で、私は

・美容部員に売り上げ目標を与えれば、人間性の喪失につながりかねない。

・生産目標や、利益目標は それにとらわれるあまり、やがては低品質化や 隠蔽・ねつ造というような悪習慣を招くおそれがあるのではないか。

というような内容のことを述べた。


販売部長は、2課の美容主任を口頭注意して配置換えするのか、2課の美容部員を他の課に分散して異動させるかと 聞いてきた。


そんなことは知らない。


だが、一度 悪習慣に染まった人が 誇りを取り戻し自ら立ち直るのはそんなに簡単なことではなく、むしろ悪習慣は トップの意に反して 容易に伝染すると私は思っていた。


なので、穏便に 

・販売2課について 「目標管理を直ちにやめさせる」 「隔離する」 「新陳代謝を待つ」 

・美容部員全員について 「常に変わることのない基本理念を徹底する」 「美容部員を不安にさせない」 ということを提案して退席した。(万年平社員なので)


40歳のお誕生日会を 第二教室で盛大に行った女帝美容主任は 独身だった。お誕生日会ののち程なくして 彼女は、何故かお腹が大きくなり やがて臨月になったが 一向に辞める気配は無かった。

そして、知らない間に サプライズとして営業マンの誰かが企画した【青林主任 追い出しコンパ】が 第一教育で 行われていた。

女帝青林主任は もうそれきり翌日からは、出社されなかった。



ところで、創価学会では、地域組織ごとに 入会者数の目標や、聖教新聞の拡大目標、選挙戦の得票目標が掲げられ 各会合への人員結集目標、新来者連れだし目標、更には脱講運動の数字目標までが打ち出されていた。

(石や砂はどこにでもあるが、ルビーやサファイアはめったに見ないように、法華講員は超レアキャラであり、脱講運動自体 机上の空論)


大幹部が、地域幹部を「目標管理」し、地域幹部は 躍起になって末端の小単位の組織に 目標達成を促す。

 

思うに 【目標】という言葉を耳にして 少しでも嫌な気持ちになったら【ピーター・ドラッガー】という名前を思い浮かべれば良いのではないだろうか。


一体、末端の組織幹部が 必死になって自腹を切ってまで 多部数購読したり、合所帯や 分所帯を繰り返したり、若者に 百均で売ってるようなプラスチックの御守りの配付をしたりして どうにかこうにかねつ造した数字を書きこんだ【報告書】は、 学会本部で誰が見て、どのように処理されているのだろうか。


地区の座談会で、誇らしげに 「今月の聖教新聞の達成目標は」 などと地区婦人部長が発表する姿を、私は少し悲しい想いで見ていたものだった。


目標による管理とは