数年ぶりに歯医者に行きました。

数年ぶんの虫歯を抱えて。

待ち合い室の椅子に座った瞬間から、緊張で吐きそうでした。

なんとか癒されようと犬の写メを必死に眺めましたが、毛の固まりにしか見えませんでした。

気持ちの整理がつかないままレントゲン室へ通され、機械から突き出ている棒をくわえさせられました。

いきなり最悪です。

なにあの棒。

ちゃんと洗ってんの?消毒してんの?衛生的に大丈夫?

ベコベコに心を折られたところで診察が始まりました。

椅子の近くに液晶テレビのようなものがあり、そこに撮ったばかりのレントゲン画像が映されました。

知らない間に歯医者がハイテク化していたことと、親知らずがあんな所に収納されていることを知り、この時だけはテンション上がりました。

一番ひどい虫歯は、もともとの生え方がおかしいこと

治してもきっとすぐまた虫歯になってしまうだろうということ

このまま放置していると、そのうち他の歯並びにも影響するかもしれないこと

説明の間から嫌な予感はしてたんですが、「今日抜いちゃいますか?」と先生。

歯を抜くってそんなノリでできるもんなの?

検査なんてレントゲン撮ったぐらいしかしてないのに?

初対面なのに?

歯を抜くなんて、人生の中でもかなり大きなイベントだと思っていたので、あまりの軽さに面食らいました。

しかし既に正常な判断力をなくしていたので、気が付くと「お願いします!」と、いい返事をしていました。

どれほど痛いのかしつこく聞く私に、「麻酔するから大丈夫だよ」と先生。

まずその麻酔が痛ぇよ。

麻酔が効くのを待っていると、さっきまでレントゲンの画像だったテレビで映画が始まりました。

DVDまで流せるのか。

すごいなー。

私ったら本当に何年虫歯放置してたんだろう。

なんでホラー映画なんだろう。

あいつ絶対ドSか馬鹿だよ。

どっちにしろ、仮にも病院で霊だの死者だのなんて頭おかしいんじゃないの?

主人公は心霊現象のライターなのに霊を信じてないの?

そんな彼がこの先どんなことに巻き込まれちゃうの?

ガッチリ心を捕まれた所で治療再開。

「じゃあ抜きまーす」って、相変わらずノリが軽い。

歯って抜く時すごい音するんですね。

メッキメキ。

こりゃもう、この歯が抜けた瞬間に下の歯全部数珠つなぎで出てくるなと思いました。

幸いにも歯は繋がっていなかったようで、抜けたのは1本でした。

全身汗だく。

「ものすごい強ばってたから麻酔アレルギーかと思ったよ~」と、歯科助手さん。

「止めろよ馬鹿かよ」と言う気にもなれない程ものすごい脱力感で、すぐにでも帰って泣きたかったけど仕事に行きました。

勇気ある決断をした私を皆が労い、羨望の眼差しを向けてくれると思ったのに、ただの遅刻扱いだったのが納得いきません。

「痛くて口が開けられない」と言うと少しだけ同情してくれましたが、「でもこれなら食べられるかなと思って」と、マクドのポテトを見せると、たちまち冷たい視線を投げられました。

モスのポテトにしなくてよかったです。

歯医者通いがしばらく続くと思うと憂鬱ですが、チョコは痛くない食べ物だと思える日を夢見て頑張ります。