バイトからの帰りの電車。

遊び疲れか仕事疲れか、それとも何か思う事があるのか、一様に暗い顔の乗客。

そんな乗客の気持ちを知ってか知らずか電車は走る。

停まった駅のホームに、激しくエアギターしながら紅を歌うお兄ちゃんがいました。

春ですな。

その駅では快速待ちの為に5分程停車します。

静まり返った車内に響き渡る紅。

我慢していたけど、耐え切れず笑いました。

私の向かいの席に座っていたお姉さんも笑いました。

お姉さんの隣の隣の男の人も笑いました。

たった一度のアイコンタクト。

次の瞬間には他人に戻ったけど、あの時私達は心友になりました。

彼の歌声に人の心を動かす何かがある事を認めざるを得ません。

大胆、且つ繊細にエアーを弾く指

鶏が首絞められたみたいな声は、紅に染まったこの俺を慰める奴はもういない事への憤りの表れか

間違いない。

きっと

きっと彼は変態だ。