お気に入りに入れていて、ずっと楽しみにしていたけど読めなかった本をやっと読了。
2020年9月初版 斎藤美奈子 中古典のすすめ
帯に「人気文芸評論家」とあるが、評論家にも「人気」があるんだ。と言っても小生も割と感覚が合う人で、彼女の書評に基づいて買う本はあたりが多い。過去「日本の同時代小説」も読んでいる。

帯にあるように、一昔前のベストセラーの現在での価値を6Pほどの評論と共に名作度・使える度各々3つ星で採点。あとがきによれば、連載時は5つ星だったそうだから、出版時に斎藤美奈子らしくもなく忖度したか?
1960,70,80年代から各15作品取り上げ、90年代が3作、計48作。画像にあるような作品たちだが、どれもどこかで聞いたことがある、あるいは読んだことがある作品。ちなみに小生の読了済作品数は20作だった。
 
山口瞳「江分利満氏の優雅な生活」、北杜夫「どくとるマンボウ青春期」、庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」、橋本治「桃尻娘」、ホイチョイ・プロダクション「見栄講座」などの小生の好きな作品が高評価を得ていたのがうれしい。
 
山口百恵「蒼い時」の作者の成熟ぶりや社会への軽蔑と告発、田中康夫「なんとなく、クリスタル」の時代先取り(実は書かれたのは80年、バブルの10年前)、や註に入っている毒は、読んだときには気づいていなかった。
 
こうやって並べてみると、各々の時代を反映していることがよくわかるし、斎藤氏の評価も、今という時代を反映している部分もあることがよくわかる。
 
掲載本のリストにピンとくる本が10冊以上あったら、面白く読めると思います。
 
★★★★半

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