シルクロード世界史 講談社選書メチエ

好きなシルクロードの歴史本 (と言ってもまだ行けていないが) 森安孝夫 著

著者は、いわゆる西欧中心の歴史観あるいは東アジアの中華主義的歴史観に疑問を持っており、特に近代以前の「世界」を中央ユーラシアを中心に位置づけ、欧州や中国、インドなどはその周辺に位置すると定義づけて説明する。

 

ゲルマン民族の大移動も、中央アジアの遊牧民が漢の圧迫や遊牧民同志の戦いなどから西に逃げてフン族になり、大移動のきっかけを作った、という説とか。

 

マニ教という、名前だけは知っていた宗教が、キリスト教や仏教とも関係があり、その絵画が日本にあることが発見されたなど。

 

この中央ユーラシア地域のダイナミズム・世界史における重要性を教えてくれてワクワクする。

 

この領域に2000年を超えてからまだ発見され発表される資料・論文があり、日々新しい史実が明らかになっていっていることに驚いた。そして、やはりこの地域が好きだ・行きたい、と思った。

 

やや、本人も含めた研究者個人の業績を評価する文が頻出しすぎるのと、地図が少なく文章中の山脈や草原の位置関係を把握するために、別途地図をネットからダウンロードする必要があったこと、などが欠点か。

 

★★★半

 

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