岩波新書のシリーズ中国の歴史⑤ 「中国」の形成 現代への展望

 
このシリーズは各巻作者が違うそうで、五巻が岡本隆司氏が執筆。五巻以外は未読。
 
表題は 歴史的には清国までは無かった「中国」という国家概念が19世紀に(!)できたことを示している。
 
この巻は清国の成立から崩壊までがほとんどで、中華民国以降は最後の一章だけだが、清国の深い分析が、今の中華人民共和国の政治を理解する上で助けになるのがよくわかる。
 
清国の成立・隆盛を支えた多元性の許容、西太后時代が成立した理由、清国崩壊の原因になった多元性の否定。その後、その多様性の中で中国共産党が中国統一をできた理由。そして今、中華人民共和国が周辺地域の維持に尽力する理由。
 
などなど、新しい視点での歴史の説明が、これらのことをよく理解させてくれた。
 
現代パートがもっと詳しくあって欲しい気持ちはあるが、まだ評価の固まっていない現代を歴史として書くのは難しいのだろうとも思う。今のままでも、十分新聞記事を読む視点が変わる本。
 
★★★半
 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このブログ内の「テーマ:本」のリストは以下から

作者名順 リスト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー