庄野潤三の芥川賞受賞作 プールサイド小景 の入った作品集。 解説によれば、文庫本オリジナルの構成らしい。文庫本初版 1965年

 
庄野潤三が なんでもない家庭の風景を書くようになるまでの変遷が分かるような、作品集。
どれも結末なんかない。日常は全て続いていくのだ、と言うように大きな結末もなく終わる。
 
最初の「舞踏」 の虚しさ・寂しさ で満たされたような最後の踊り。日常を飲み込んでしまいそうなプールの水で終わる「プールサイド小景」
 
セザンヌの部屋が登場する「蟹」
オケラの話・蓑虫の話が楽しい「静物」。
 
日常の風景、その裏に潜む脆さ・危うさ、だからこそその表の日常が如何に大事なものであるか、それを維持することに意味があるのだ。そんなことを感じさせてくれる、素晴らしい作品集。
 
こんな文章を書きたい。
 
そういえば、最近 「柿」の絵を描けるようになりたいのです。まるっきりの絵下手なんですが。
 
★★★★半

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