庄野潤三の兄、庄野英二のエッセイ集。
作者の体験としての戦時中の話が多いが、その抑えた抒情性が心に沁みいってくる。
多分狙っているわけでもなく、どことなくコミカルな話もあり、その柔らかな感じが好ましい。
作者自身出征しており、餓死寸前のような戦地での苦しい話も多いのだが、それが悲惨な話にならないのは、作者の個性の故か。英語のできる大卒の幹部ということで、部隊の中で比較的恵まれた位置にいたことや、現地人とのコミュニケーションが取れたこと、などが寄与してはいるが、それ以上に作者の人間性を感じる。
★★★半
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