何かの書評で評価が高かった、ブレイディみかこの ワイルドサイドをほっつき歩け

 
 
イギリス南部ブライトン在住の作者による、エッセイ(?)集。エッセイとカバー折り返しにあるが、第一章はドキュメンタリーと言えるもの。
 
サブタイトルに 「ハマータウンのおっさんたち」とあるように ひたすら労働者階級のおっさんたちを 描いた作品。
 
ブライトンそのものは調べると海辺の観光地のようだが、ここで描かれるのは、塗装工だったり運転手だったり無職だったりと、どっぷりと労働者階級に浸った中高年の人々。
 
労働者階級の人々がその労働者階級を抜け出せないという前提(自覚であり現実でもある)の中で、たくさんの試練を受け入れ、それでも人生を楽しもうとする様子が描かれる。寂しさと虚しさともに。
 
イギリスにおける社会的階級というのが、こんなにも固定的で、はっきりとしているものだったのか。(階級社会と聞いてはいたが)
保守党と労働党はこんなにも政策が違い、政権交代によりこんなにも社会が変わってしまうものなのか。(振り返って日本の安定の良さを認識)
ブレグジットの背景にある NHS(national health service)などの問題。癌の受診予約が9週間後!これらが、あの投票に影響していたのか。
緊縮財政とはこんなにも酷いものなのか。
 
など、知らないイギリスがたくさんあった。
 
そこで労働者階級として生きていく人々の人生。寂寥感のある、小さな幸せ 小さな意地 の人生。
 
さらに、その地で20年以上住んでいる作者に、その理由を聞いてみたい。
 
★★★★
 

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