ことばの力学 白井恭弘 岩波新書

 

 

古本屋の100円店頭ワゴンで発見した本。こちらの古本屋は小生と相性が良く、発見が多い。
2013年3月初版

言語学の本だが、その中でも「応用言語学」という、「現実社会の問題解決に直接貢献する言語学」について書かれている。

「言語の文化」の章での、ステレオタイプのところでの、外科医のクイズや、

(これはクイズなので詳しく書けない。。)

「無意識への働きかけ」の章でのメタファーの話、

 議論は戦争であるというメタファーから、議論に「勝つ」「負ける」という言葉を使ったり、議論の弱点を攻撃する とかいう。恋を旅に例えるから 関係が行き止まりになる など、類似と思うから使うのか、使うから類似に思うのか。

民主党のごたごた という言葉の内包するもの
 ‐ごたごた、というだけで否定的なニュアンスが刷り込まれる

「法と言語」の章での 英語の冠詞a theの違い、
 -a broken headlightを見たか? the broken headlightを見たか? の冠詞の違いだけで、 theの方が yesの回答が多くなる

冒頭の方言とステレオタイプのところにある、
ウサイン・ボルトの翻訳字幕には「俺」が使われることが多い
などなど、興味深い話が満載。

「応用」という世界になると、より心理学に近寄る必要があるのだろうが、その領域がとても面白い。言葉と心理とのインタラクティブな関係、それを現実社会の改善にどう使うか、とても興味深い領域だ。

大学の時から心理学は好きだったのだが、何故それを極めようと思わなかったのか、40年経ってから悔やんでいる。と言語学の本で心理学を悔やむ。

★★★★

 

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