ヨーロッパ退屈日記 伊丹十三 初版1965年 文庫2005年

 

 

俳優・映画監督 伊丹十三のエッセイ集。表紙の惹句は山口瞳作らしい。
古本屋の店頭100円コーナーをのぞき込んでいると目につき購入。
こんなところで山口瞳つながりなど、やっぱり好きなものは知らないうちに連鎖するらしい。

なお、表紙のイラストも伊丹の自作。多面的才能を持っていたようだ。
書かれているのはすべて本人が好きでこだわっているもので、ダンヒルのライター・ブリッグの傘などすべて海外の一流品。

伊丹十三は1960年代前半に渡欧して映画俳優のオーディションなどを受け、
出演もしていたとのことで、
その時の欧州経験をかなり高踏的かつイロニカルな感じで書いている。

米語・米国文化に対する嫌悪などかなり独特なものもあるが
(個人的には同意する部分も多いが...)
60年代という時代に、ここまで欧州文化を、形としてではなく、
文化として価値観とともに身につけていることには驚かされる。

領域もファッションから、料理、酒、言語、スポーツ、習慣などなど多岐にわたり、
そして今でもここに書いてることを知らなかったり、習得することができていないことがある。
マルティニ、ギムレット、ジン・バックのカクテルの文章も、「そうなのか!」と思わせてくれるし、映画・オーディション関係の裏話も楽しい。

 

英語の発音通りの表記にもこだわっていて、テレヴィ・ドラマ、メーカップ、オリエント・イクスプレス、スモウク・サモンなどが頻出する。

いわゆる「粋」なことが詰め込まれた本。

★★★★

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このブログ内の「テーマ:本」のリストは以下から

作者名順 リスト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー