千早茜の新刊 透明な夜の香り

 
最近の千早茜の作品でよくある、特定のお仕事(今回は調香師)に関する連作長編。
ちょっと最初のうちは、ミステリー的な要素もあって、TVの連続ドラマみたいな感じもしていた。(あまり褒めてはいない)
 
でも、最後の一篇で、ああ、いいなと思う。一筋縄ではいかないこの感じが素晴らしい。単純なハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもなく。誰が一番成長したのか、も簡単ではなく、余韻が深い。スーパー調香師というある意味架空の世界から、一気にリアリティの世界まで下りてくる感じがある。
 
もう、作者の特徴になっている、詳細な料理の描写も楽しい。作ってみたくなる。
 
でも、作者には、「連作」ではない長編を書いてほしいな、と思う。それをずっと待っているんだけど。
 
★★★★
 

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